『Dancing the Invisible』というタイトルの作品は、ジル・ビルコックがテレビCMの編集を始めた60年代からスタートし、貴重なフッテージ映像とともに彼女の業績を紹介していく。『ダンシング・ヒーロー』、『ミュリエルの結婚』、『ロミオとジュリエット』、『エリザベス』、『ムーラン・ルージュ』、『ロード・トゥ・パーディション』…。そして、バズ・ラーマン、サム・メンデス、シェカール・カプール、ケイト・ブランシェットなど、錚々たるメンバーがジルの技術と人柄を称揚するコメントを寄せる。ケイト・ブランシェットは、自分が演じる役を理解するのと同じ深度でジルは映画の全てのキャラクターと物語を理解しているのだと語る。そうでないと感情を伝えるカットは切れないのだ。
車に乗って約30分。景色が都会から自然へと移っていくと、興奮も高まってくる。そしてついに「Lone Pine Koala Sanctuary」に到着! オープンな動物園で、エミューやトカゲは放たれ放題でカンガルーにも直接接することが出来る。小さめのサファリパークと動物園が混じったような作りと言えばいいかな。
さて、いよいよ我々審査員の出番がやってくる。カザフスタンのアディルカン、中国のサイフェイ、フィリピンのアドルフォが次々に登壇し、各賞を発表していく。僕もやがて進行係から声をかけられ、席を立って舞台袖に向かい、待機する。作品賞のひとつ前の「審査員大賞(Jury Grand Prize)」を発表する大役だ。