メイクアップアーティストを目指す高校生のオスカー。怒りっぽいが愛情深い父と暮らしながら、女優志望の友人ジェマとともに作品作りに没頭する日々を送っている。ジェマとはなんでも話し合えるが、恋人ではない微妙な関係。ある日、バイト先でワイルダーという青年と出会う。つかみどころがなく、どこかミステリアスで、自由気ままに季節を謳歌するワイルダーを目にするたび、オスカーの中に生まれる鈍い痛み。それは彼が誰にも言えず、そして認めないようにしてきた、ある“気持ち”だった――。
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大人になる一歩手前の主人公が自分自身を探しながらもがく姿を、カナダの若手気鋭監督ステファン・ダンが長編デビューながら繊細な映像とスタイリッシュな音楽で描いた本作。自身、ゲイであることを公言しているダン監督の半自伝的な要素を持った本作は、「作品に対する自信に満ちあふれ、アイデンティティへの反抗と成長が新鮮に描かれている」(THE HOLLYWOOD REPORTER)、「ほかの映画にはない、優雅な真実味」(INDIEWIRE)など高い評価を受けた。
2015年のトロント国際映画祭では、ダン監督は26歳にして最優秀カナダ長編映画賞を受賞。さらにアトランティック映画祭では監督賞、脚本賞、マイアミ・ゲイ&レズビアン映画祭審査員賞、メルボルン・クイア映画祭審査員賞を受賞するなど、一躍、若手有望監督の仲間入り。同じくカナダ出身で鮮烈なデビューを果たし、いまや世界中の映画ファンが新作を待ち望む俊英グザヴィエ・ドランに次ぐ才能として期待されている。
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7月15日~8月18日まで新宿シネマカリテで開催された「カリコレ2017」では、全回上映ですべて満席、さらに公開作品50本中総動員数第1位を獲得する快挙となった。公開初日の7月16日には、主演を務めた美男コナー・ジェサップが来日し、舞台挨拶に登壇。実は来日は7度目というほどの日本好きで、是枝監督作品が好きだと語る彼は、出演の経緯や撮影の苦労など作品に関することから、役者だけでなく監督・プロデューサーの顔も持つ自身の今後についてを語り、大盛況となっていた。
『さよなら、ぼくのモンスター』は10月7日(土)~10月20日(金)まで新宿シネマカリテにて2週間限定アンコール上映。