開催中の第70回カンヌ国際映画祭。今年、カンヌを席巻しているのが、動画配信サービス「Netflix(ネットフリックス)」の作品だ。コンペティション部門に、ポン・ジュノ監督の『オクジャ』と、ノア・バームバック監督の『The Meyerowitz Stories(New and Selected)』(原題)の2本が入っている。いずれも作品の評価は高いものの、オンラインでしか観られないものを映画と認めるべきか、否か、という大論争が巻き起こっているのだ。特にスーパーピッグをめぐる『オクジャ』は星取り表でも上位3本に入るほど好評で、主演のティルダ・スウィントンの女優賞の声も聞かれる一方、ブーイングも出るなど、まさに問題の矢面に立たされている格好。『The Meyerowitz Stories』(原題)も、気難しい父親(ダスティン・ホフマン)にふり回される息子たち(アダム・サンドラー、ベン・スティラー)の反目と和解を笑いの中に描いた、愛すべき映画となっている。「Netflix」問題は映画祭開幕前から白熱しており、カンヌ側は今年は特例としてコンペ入りを認めたものの、来年以降はコンペ入りの条件にフランス国内での劇場公開を義務づけると発表した。というのも、フランスでは映画のストリーミング配信はフランス国内公開から3年後という規正があるからだ。同時に、劇場の興行収益から映画支援団体CNC(国立映画センター)に一定額を支払う規定があるが、劇場公開をしない「Netflix」はこの支払いを回避してもいる。映画祭初日17日の審査員団会見では、審査委員長ペドロ・アルモドバルが「劇場で観られない映画に、賞をあげたくない」と爆弾発言をした。これに対し、同じく審査員のウィル・スミスは「Netflix」を擁護。アルモドバルはその後、この発言は撤回して、公正な審査を行うと宣言、ポン・ジュノ監督に会った際には謝罪もしたという。果たして審査員団は、この2本に対してどのような結果を下すのか。審査結果は28日(現地時間)夜、発表される。(photo / text:Ayako Ishizu)
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