2016年2月に開催された同映画祭での上映には、映画ファンに加えて、熱心な「THE BLUE HEARTS」ファンが多数駆けつけ、立ち見でも入場出来ない程の大盛況。6作品の1つである『ラブレター』(井口監督)に出演する俳優・斎藤工の働きかけも奏功し、SNSを中心に、本作の公開を待ち望む声が一気に拡散していった。「ちょうどクラウドファンディングの注目度が上がっていたタイミング。僕らもその力を信じてみようと動き出したんです」(工藤監督)
「支援者の皆さんから届くメッセージを読むと、本当に涙がこぼれそうになります。作品を愛する方々の力に助けられ、どんどんフィールドが広がり、1人でも多くの人に見てもらえる環境作りができる。それって、THE BLUE HEARTSというバンドが、ファンの力によって大きな存在になっていった過程に共通しているように思えるんです。モノづくりの場を確立し、発表する手段として、クラウドファンディングには未来を感じています」(工藤監督)
工藤監督が手がけた『ジョウネツノバラ』は、ある男女が織りなす異様にして、ピュアな愛の形を描く26分の短編。「THE BLUE HEARTS」の楽曲をモチーフにしながら、エンドロールに流れる「情熱の薔薇」を除くと、セリフも劇伴もないのが特徴だ。原案、脚本を手がけるのは永瀬正敏さん本人。工藤監督とは以前から映像作品でのコラボレーションを重ねてきた信頼関係があり、脚本は「20稿以上練り上げて、完成させた」という。