まだ暑かった頃にうちから徒歩1分のところでドラマの撮影が行われていました。仕事で撮影現場に行くことは多々ありましたが、自分の家の目の前で撮影が行われたことはなかったのであくまで平静を装いつつ興味津々で眺めてしまいました。『図書館戦争』でご一緒させてもらった田中圭くんの姿も見えて声をかける勇気はなかったですが、嬉しかったものでした。といいつつ、寒くなる頃にはすっかりそんなことは忘れていました。でも、嫁がそれが何のドラマの撮影だったのか調べてくれていてそのドラマを録画してくれていました。タイトルは「徒歩7分」NHKのBSプレミアムのドラマでした。(http://www4.nhk.or.jp/toho7min/)せっかくだからということで嫁と一緒に観たのですが、これが何とも面白い!脚本が前田司郎さんという人で、五反田団という劇団を主宰しているのですが僕が敬愛してやまない石川直樹さんが以前に「五反田団は面白い」と言っていたので、気にはなっていた人でした。この「徒歩7分」が僕の初の前田司郎体験になったのですがとにかく台詞回しが面白くて、初めは単に軽い気持ちでとりあえず録画したしまぁ観てみようか、くらいのノリだったのですが、今や夫婦で毎回正座して観てるほど。今週が最終回で、既に名残惜しくなってます。田中霊奈さん演じる32歳の独身女子(彼氏ナシ、友達ナシ、仕事ナシ)が独り暮らしを始めるところから始まる話で、この主人公のどうしようもないけど、何だか愛しく思えてしまう感じが(田中麗奈さんの演技力のおかげもあるかとは思いますが)たまらなく面白くて、たまらなく可愛いです。うちの近くの道が出てくる度に「うちから徒歩1分」と嫁と喜べるのも何だかパーソナルでいいです。アパートの隣人とその友人のパンツの話をするくだりなんか、もう最高でした。なんてことない日常を淡々と描くいわゆるノホホン系の作品は他にも多々ありますがこの「徒歩7分」はそんな日常を描きつつも、その描き方に常に温かいユーモアが溢れているので観ていて本当に心地よくて楽しくて、いつまでもその世界観に浸っていたくなってしまいます。正直ドラマでここまで思わせてくれる作品はあまりありませんでした。かといって、これは映画には出来ないなぁと。ちょっとうまくは説明できないんですが、映画的ではないんです。でも、面白い。映画以外にも面白いものはあるもんですねぇ。あぁ、最終回楽しみだけど、寂しいなぁ。【2015.2.23】