本年度アカデミー賞で6部門にノミネート(作品賞・主演男優賞含む)され注目を集めている、クリント・イーストウッド監督最新作『アメリカン・スナイパー』。本作で実在した伝説のスナイパーを演じている主演のブラッドリー・クーパーの壮絶な役作りが海外で話題を集めているが、その完成度は本人(クリス・カイル)にまさに“生き写し”だ。原作となったのは、13週に渡り「ニューヨーク・タイムズ」紙べスト・セラー1位を独走したクリス・カイルの自伝「ネイビー・シールズ最強の狙撃手」(原書房刊)。主演を務めるブラッドリーは、この原作に惚れ込み映画化権を獲得し、プロデューサーとしても名を連ねている。本作の主人公となるクリスは、“レジェンド”と称えられながら、2013年2月2日に、自身と同じ心の病に悩む元兵士によって射殺され、その短すぎる生涯に幕を閉じた人物。9.11以降のイラク戦争で、米海軍特殊部隊ネイビー・シールズに入隊し、予測不可能な戦場でどんな過酷な状況でも仲間を守り抜いた英雄の真実を描く本作。狙撃精度の高さで任務をこなし、敵からは“悪魔”と恐れられるも、過酷で終わりのない戦争は幾度となくクリスを戦地へと向かわせ、彼の心を次第に蝕んでいった…。9.11以降、混迷が続くイラク戦争を舞台にしているものの、戦場での闘いと並行して描かれる主人公とその妻が織りなす家族の葛藤のドラマが共感を呼び、アメリカ本国では全米興行ランキング3週連続1位を獲得、全米興行収入は約2億5,000万ドル(約300億円)を突破し、社会現象ともいえる大ヒットを遂げている。そしてそのヒット要因の一つと言われるのが、アカデミー賞「主演男優賞」にもノミネートされたブラッドリーの驚異的な肉体改造だ。撮影開始前には、ネイビー・シールズとともに本物さながらの家宅捜査や、実弾での訓練、過酷なトレーニングと約18キロもの体重の増量を敢行。成人男性が1日に必要なカロリーの約4倍近くである8,000キロカロリーを摂取した。数か月朝5時に起床して、約4時間のトレーニングを実施し、1日5食に加え、エネルギー補給のためにパワーバーやサプリメント飲料などを取り入れる生活を送っていたという。ブラッドリーは、「クリスは筋肉質で105キロぐらい。当時の僕は84キロぐらいだった。3か月間、いつも食べては運動していた。あれはキツかったな。『どうだい? 十分に大きく写っているか?』とテイクの度に聞いていたよ(笑)。それで本編の最初のカットを見たときに、自分がポンプで膨らましたような男に見えて、あれでさらに増やしていたら、危うく喜劇になるところだった(笑)」と撮影当時をふり返る。また「私も役作りで体重を増やした経験があった」というイーストウッド監督も、「自然に体重が増えるとは限らないので、そうなると四六時中食べていなきゃならない。撮影の最終日は『よかったー! もう食べなくていい!』と思ったに違いない(笑)」とその苦労を冗談交じりに語っている。そうして作り上げたブラッドリーの肉体はどこから見ても、米「ピープル」誌で“最もセクシーな男性”('11年)に選出されたイケメン俳優ではなく、正真正銘の軍人そのもの。横に並んだクリス本人と見比べてみてほしい。『アメリカン・スナイパー』は2月21日(土)より丸の内ピカデリー、新宿ピカデリーほか全国にて公開。
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