また、世界各地のリスナーやメディアに高く支持されている一方で、その楽曲の数々は各国の映像作家たちの感性をも刺激し、多くの映像作品に使用されている。『春にして君を想う』(’91)で知られる、アイスランド人映画作家フリドリック・トール・フリドリクソン監督作『Angels of the Universe』(’00)のスコアを始め、本国ではドキュメンタリー映画『Hlemmur』(’02)のサントラも制作。
さらに、「シガー・ロス」が2012年に発表した6枚目のアルバム「ヴァルタリ~遠い鼓動」では、そのリリースを記念したミュージックビデオ・プロジェクト「シガー・ロスの世にも奇妙な映像実験」(The Valtari Mystery Film Experiment)」が敢行された。このプロジェクトは、シガー・ロスが自ら選んだ映像作家にそれぞれ予算1万ドルを渡し、同アルバムから選曲し、感じ取ったままを自由に映像作品として制作するという意欲的な試み。イタリアの女性フォトグラファーで『ランナウェイズ』('10)で長編映画を初監督したフローリア・シジスモンディ、イスラエルの映画監督アルマ・ハレル、『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』('02)のジョン・キャメロン・ミッチェル監督などが参加、エル・ファニングやジョン・ホークス、全裸にもなったシャイア・ラブーフなどの出演が話題となった。