『イヴ・サンローラン』は、サンローランに扮するピエール・ニネがとてもいいけれど、サンローランのパートナーであったピエール・ベルジェに扮するギヨーム・ガリエンヌがとにかく素晴らしい。もともと演劇出身のガリエンヌは、昨年『Les garcons et Guillaume, a table!』(左記の原題は一部アクセント記号が非表示ですが、『不機嫌なママにメルシィ!』という邦題で今年の9月に日本公開決定!)という作品で映画界でも特大ブレイクを果たし、フランスのセザール賞も受賞して、猛烈に勢いに乗っている俳優です。サンローランの芸術から受ける刺激と、ガリエンヌの演技を見ている快感とが、今作の魅力でしょう。
『スザンヌ』のサラ・フォレスティエは、次々とオファーされる破天荒な役柄を期待以上のパフォーマンスと存在感でこなしていく個性派女優で、これまた現在最も出演作をチェックしたくなる存在です。昨年の東京国際映画祭で上映した『ラブ・イズ・パーフェクト・クライム』の奔放な女子大生役も印象的だけど、なんといっても2010年の『Le nom des gens』という作品のインパクトが強烈。彼女は、地下鉄構内を全裸で歩いていることを注意され、「あれっ、服着るの忘れてた!」と自分で驚く、サザエさんも驚愕する役柄だった!
こうやって書いていると、本当に今年は俳優豊作のラインアップですね。上記の他にも、『素顔のルル』のカリン・ヴィアールや、『間奏曲はパリで』のイザベル・ユペールなど、お馴染みの面々も充実しているし、フランスの超ヒットメーカーである『Fly Me to the Moon(英題)』のダニー・ブーン(来日する!)も注目でしょう。