数々の実写映画で観客を別世界へと誘ってきた種田陽平氏が、スタジオジブリ最新作『思い出のマーニー』(米林宏昌監督)で初めてアニメ映画の美術監督を担当することになった。7月27日(日)からは江戸東京博物館で「思い出のマーニー×種田陽平展」が開催される。種田氏は日本を代表する美術監督として、三谷幸喜、岩井俊二、李相日ら数々の名監督から全幅の信頼を寄せられるだけでなく、クエンティン・タランティーノやチャン・イーモウともタッグを組み、美術を通して映画に“生命”を吹き込んでいる第一人者だ。「種田さんが参加してくれたことで、ジブリの作品づくりが大きく変わりましたね」と語るのは、本作の製作を務めるスタジオジブリの西村義明プロデューサー。米林監督の前作『借りぐらしのアリエッティ』を始め、過去のジブリ作品の多くは宮崎駿監督による美術設定やイメージボードが世界観の根幹をなしていた。しかし、最新作『思い出のマーニー』に宮崎監督は一切関わっておらず「つまり、美術に関して大きな問題を孕むんですね。今までは宮崎監督の中にあるイメージを、アニメーターたちが具現化してきましたから」(西村プロデューサー)。そこで今回、手腕を振るうのが種田氏というわけだ。西村プロデューサーも「絵コンテに入る前段階で、すべての美術設定が出来上がっていました。詳細な設計図とジオラマ、実写映画を作るがごとく、種田さんがどんどん作業を進めてくれた。強い影響を残してくれたし、とても心強かった。こんなことはジブリ史上初めてです」とその“変化”に目を見張る。種田氏は2010年には『借りぐらしのアリエッティ』を題材に、こびとたちが大冒険する二次元の世界を実写映画美術で再現する展覧会「借りぐらしのアリエッティ×種田陽平展」を手がけた。それだけに「思い出のマーニー×種田陽平展」の開催も自然な流れだった。「美術設定だけではもったいない。立体にしたら面白いんじゃないか…、というか立体にすべきということで、展覧会もお願いした。巨大な実写のセットとして、かなり緻密でリアル、そして大がかりに表現されている。お客さんが主人公になりきって、『思い出のマーニー』の世界に浸ってもらえるはず」(西村プロデューサー)『思い出のマーニー』は7月19日(土)より全国にて公開。「思い出のマーニー×種田陽平展」は7月27日(日)~9月15日(月・祝)、江戸東京博物館1階展示室で開催される。※文中の西村氏の発言は、2014年4月14日(月)に東宝本社で行われた『思い出のマーニー』記者会見より抜粋。
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