1970年代フランス――愛娘を“ロリータアイドル”に仕立て上げた女流写真家イリナ・イオネスコを、34年の時を経て、その被写体本人であるエヴァ・イオネスコ自らが映画化した『ヴィオレッタ』。このほど、母が娘を妖艶なポーズで撮影するという本作から、禁断の撮影シーンが到着。また、エヴァ監督と主演を務めたアナマリア・ヴァルトロメイの来日も決定した。女流写真家の母・アンナの愛情を求める娘のヴィオレッタは、ある日、アンナに写真のモデルへと誘われる。母親に気に入られたい一心で、彼女はモデルになることを決意。しかし、アンナの要求は徐々にエスカレートし、ヴィオレッタに大胆なポーズを要求していく。最初はごく普通のあどけない少女だったヴィオレッタは、煌びやかな衣装とメイクに身を包み、被写体になり続けることで、次第に大人の女の色香を漂わせ、退廃的な少女へと変貌していくのだが…。実の娘を5歳から13歳に渡って撮り続け、“バロックエロス”の寵児とも、“毒婦”ともいわれた写真家・イリナ。2004年には1冊のモノグラフにまとめあげた写真集「エヴァ」が日米で同時出版されたが、たちまち話題沸騰となり、高額であるにもかかわらず瞬く間に品切れとなってしまった。その後、写真集は世界の市場から消え去り、現在は幻の存在となっている。今回、そんな母と娘を題材にした本作から届いたのは、フランスを代表する名女優イザベル・ユペール扮する母・アンナが、娘のヴィオレッタをスチール撮りする本編シーン。このシーンは、ヴィオレッタ役のアナマリアに細心の注意を払いながら進められたそうだ。「私が“撮る側”に回ったとき、ハイヒールを履き、ガーターベルトを身につけ、開脚するような少女を演じさせることはできなかった」と、エヴァ監督は複雑な気持ちを吐露する。「暴力だってもっと酷くできたかもしれない。映画のこういった側面を頭では理解できるけれど、実際に画面には映ってはいないの。私の限界はそこだった。自分の傷とは距離を置いているのよ」と語り、自らの過去と劇中の少女には少し隔たりがあることを明かしており、エヴァ監督の複雑な気持ちとこだわりが詰まった衝撃のシーンに注目してみて。さらにアナマリアが、監督と共に初来日を果たすことが決定! 4月13日(日)~1週間ほど滞在する予定だという。『ヴィオレッタ』は5月、シアター・イメージフォーラムほか全国にて順次公開。