17日(月)の「NEWS ZERO」で『神様のカルテ2』の特集が放送されました。とはいえ、映画のストーリーや見所などを紹介するような通常の特集ではなく映画の内容を紹介して頂いた上で、そこから紐付く形でリアルな地方医療の現場を櫻井 翔さんにキャスターとして取材してもらうといったものでした。実はこれ宣伝がスタートした当初からの念願の企画でした。「神様のカルテ」シリーズは長野県の松本市を舞台にしていて地方医療における医師不足といった現状にも焦点を当てています。患者さんに対するお医者さんの数が足りていないそうです。櫻井さん演じる主人公の内科医もその医師不足のせいで全然家に帰れないという生活を強いられていたりします。そこに藤原竜也さん演じるかつての親友・辰也が赴任してきて彼から「患者のために家族は犠牲にしてもいいのか?」という問題を突きつけられ、大きな壁にぶつかってしまう、というのが今回の映画の1つの軸になっています。通常の映画紹介、映画特集ではこういったストーリー的な側面を紹介してもらうのですが今回の『神様のカルテ2』では、そういった映画紹介に加えて社会的な側面も打ち出していきたいと思ってました。そんな折に長野県のその名も「医師確保対策室」さんからご連絡を頂き、長野県の地方医療における医師不足対策を知ることになりました。全国でも色々な対策は行われてるようですが、長野県では「信州型総合医」ということを謳っていて「総合医」(特定の臓器や疾患に限定せず、あらゆる患者に対応する医師)の育成に力を入れているそうです。医療の分野は細分化が進んでいて、自分の専門外のことはわからないといったケースもあるみたいで、それを総合医というある種オールマイティーなお医者さんを養成することでカバーしていくということだそうです。(本当はもっと色々あるのですが、ここでは単純化させてもらってます)全国一位の長寿県である長野県は全国に先駆けてその総合医の養成プログラムをスタートしており、2011年10月に信州医師確保総合支援センターが設置されていました。これはちょうど前作の『神様のカルテ』が公開された直後のことでした。もちろん映画がこの事業を後押ししたといったようなことは言えませんがそれでも『神様のカルテ』という信州を舞台にした映画の存在が少しはこうした動きに寄与した面もあるのでは?そう思って、こうした医療の現状を報道番組などでうまく映画を切り口にして伝えてもらえたらとずっと思っていました。それが結実したのが、先日の「NEWS ZERO」だったわけです。しかも、映画の主演の櫻井さんにご取材頂くという最高の理想形でした。もしかしたら関係者にはこれじゃ映画の宣伝になってないじゃないかという人もいるかもしれません。確かにそうかもしれません。でも、映画が社会に対して持ちうる可能性といったことを伝えていくのも宣伝マンの使命だと僕は思っています。映画は基本大衆エンターテインメントですから観て泣いたり笑ったりして楽しんでもらえればOKなんですが、そういった感動が連なって社会を動かす可能性もあるわけでそういう可能性にこそ、この仕事の醍醐味を見出したいと思っています。映画を映画だけで完結せずにそして、映画におぼれ過ぎずにリアルな世界の色んなことに興味を持ってもらえればこんなに嬉しいことはありません。【2014.3.19】