2011年に公開された、サラリーマンの父の発病から死までを追ったドキュメンタリー映画『エンディングノート』。映画が社会現象になり、各メディアで取り上げられるにつれて、自分の人生をよりよく締めくくるための活動「終活」(葬儀、墓、財産整理…etc)が急速に広まっている。この「終活」には、“人生の最期に自身がどう締めくくりたいか?”という思いと共に、“残された人々へ何を伝え遺したいか?”という思いが込められている。先週末公開された映画『四十九日のレシピ』では、後者としての“終活”が描かれているようだ。本作は、一家の母が突然亡くなり、夫と娘の共に遺された1冊のレシピカードを発見したことをきっかけに展開していく。生前、母が毎日の暮らしのアドバイスや料理のコツなど細々したことを書き留めていたメモ、装丁されイラストが添えられた“暮らしのレシピカード”として家族の手元に遺される。行間からあふれる母からの愛情や思い出が、父と娘の糧に、いつしかそれがこれからの人生を幸せに生きるための“処方箋(レシピ)”となっていくのだ。この心温まる物語を通して、鑑賞した観客は改めて自分たちの人生を考えるきっかけとなったようで、実に様々なエピソードが寄せられている。<鑑賞者たちからのメッセージ>■「レシピは残せないけど、メッセージは残していきたい。私も映画みたいに楽しく笑って見送ってほしいな」。■「私はきっとこの先も悩んで後悔しての繰り返しだろうけど、それでもきっとこっそりと、人生悪くないとか思えたらいいなぁ」。■「見習いたいと思うことが沢山。こういう生き方、死後いいな」。■「自分の生き方だったり、人との繋がりだったり、綺麗事じゃ終われない人生を考えるきっかけになれた」。■「人の人生に空白などない。いつも何かがある。子どもがいようがいまいが、それは誰かに伝えられ活かされるべき。自分が死んだ後、空白の年表があったとして、誰が何を埋めてくれるのかと考えた」。■「人は必ず誰かの人生に触れるし、欠片でも心に残る。人の一生に、実は空白なんてないんだなって思ったよ」。誰の家にも母から子へ、父から子へ伝えられる“暮らしのレシピ”というものがあるはず。大切な人へ伝えたい思いを“暮らしのレシピ”に込めて遺す…映画『四十九日のレシピ』を通してそんな“終活”を考えてみるきっかけにしてみて。『四十九日のレシピ』は新宿バルト9、有楽町スバル座ほか全国にて公開中。