ヴェネチア国際映画祭金獅子賞やアカデミー賞脚本賞始め、数多くの賞に輝いたソフィア・コッポラ監督がエマ・ワトソンを主演に実在した10代の窃盗団の顛末を描いた最新作『ブリングリング』。シネマカフェでは女の子ばかりのティーン窃盗団の中で唯一の男の子マークを演じるイズラエル・ブルサールに注目した。本作は実際にあった事件を基に被害総額3億円、ハリウッド・セレブの豪邸を襲ったティーン窃盗団「ブリング・リング」を追ったセンセーショナルな物語で、5人のティーン窃盗団を演じるのは『ハリー・ポッター』シリーズのエマ・ワトソンに、ケイティ・チャン、クレア・ジュリアン、タイッサ・ファーミガとフレッシュでキュートな女子ばかり。女子の中でひとり頑張るイズラエル・ブルサールは、1994年生まれの19歳。ロブ・ライナー監督作『FLIPPED』(原題/’10)や、スティーヴン・ヘレク監督作『THE CHAPERON』(原題/’11)に端役で出演しているが、日本公開される出演作品は、実は今回が初めて。彼が演じるマークは学校に馴染めない転校生で、レベッカ(ケイティ・チャン)に出会うことにより、日常生活が劇的に変化していく。コッポラ監督はマークという役柄について、「私は、人々がアイデンティティを追求していく姿にいつも魅かれます。本作ではほとんどのキャラクターがあまり同情できない人物なので、ストーリーに入り込んでいく方法を探さなければなりませんでした。唯一、この中で最も共感できたのはマークでした」と、彼が本作を描くにあたって重要なキャラクターだったことを明かした。そして、イズラエルは「マークとは自己嫌悪に悩むところに共通点があると思う。ミシシッピで育った僕は子どもの頃みんなに好かれてなくて、自分もクラスが嫌いで学校に行きたくなかった」と、自身をふり返って切り出す。「映画の最初のマークは、すごい孤独でどうしようもないやつに見えると思う。それからレベッカと知り合って友達になるんだけど、マークはどんどんレベッカに惹かれていくんだ。そして何もかもダメになったとき、レベッカを頼って裏切られる。その体験からマークは成長していく。ソフィア(監督)は、マークを物語のハートの部分にしたかったんだと思うんだ。彼にはどこか憎みきれない部分があるからね。そのへんをうまく表現できていたらいいと思ったんだ」と語った。また、「観ていると、マークがゲイだと分かると思うんだけど」と言うイズラエル。「そのことについてソフィアと話し合ったんだ。ストーリーの中でマーク自身が、ゲイだってカミングアウトするシーンはなし、それは本作で重要な部分じゃない。ストーリーの本質とずれてしまうからね。だから、マークを自然に演じるようにしたんだ」と話してくれた。「主役はリアルなティーンであることが重要だったの」とフレッシュなキャスティングにこだわったソフィア・コッポラ監督。本作と共に新星イケメン俳優イズラエルの今後の活躍も期待したい。『ブリングリング』は12月14日(土)より渋谷シネクイントほか全国にて公開。