“オトナ可愛い”女優として人気を集めている永作博美・主演で贈る、『四十九日のレシピ』。しかし本作には、永作さんよりもさらにオトナ可愛い(?)大先輩・淡路恵子の毒舌っぷりが“ハンパない”ことになっているという。ある日突然、母・乙美を失った百合子(永作博美)。父・良平(石橋蓮司)が心配だからと実家に帰るが、実は夫(原田泰造)との間に問題を抱え、憔悴しきっての帰郷だった。そんな折、百合子と良平の元に派手な服装の不思議女子・イモ(二階堂ふみ)と、日系ブラジル人の青年・ハル(岡田将生)が現れる。生前の乙美に頼まれ、残された家族の面倒を見にきたのだと言うイモは、乙美がとある“レシピ”を書き残していること、そして四十九日には法要ではなく“大宴会”をするのが彼女の希望だったということを2人に伝える――。亡くなった母の「幸せに生きるためのレシピ」を通じて、残された家族が様々な心の傷と再生を描く本作。永作さんが演じるのは、大切なことを母に聞きそびれてしまったヒロイン・百合子。そんな彼女に対して、歯に衣を着せぬ物言いで叔母の珠子を演じるのが、大ベテランの淡路さんだ。最近極秘入院をしていたことが明かされ、現在リハビリ中の淡路さんは、御年80歳。人生の先輩が劇中で放つ言葉は百合子だけでなく観る者の心にグサグサとしかも心地よく突き刺さるはずだ。子どもがいないと悩む百合子。そんな彼女に対して、デリケートなことでもズバズバと口にする珠子の存在感は、ハンパではない! 「浮気ぐらいで離婚だなんて!」「子どもの苦労がない分、幸せかもね」など毒の効いた発言を連発する珠子。周りからは余計なことを言わないでも…と思われるほどの強烈なインパクトを、劇中のみならず、観た者すべてが感じることとなるはず。そんな反面、「子どもは親を成長させてくれる!」など人生の先輩としてのごもっともな意見や「百合子が心配だからこそ!」とストレートに想いを伝えるその姿は、「親戚に絶対いる!」と思わず誰かと共有したくなるほどのリアリティを感じさせてくれる、間違いなく大ベテラン・淡路恵子だからこそ生み出せた愛すべきキャラクターだ。現場に淡路さんが登場すると、心地よい緊張感が漂っていたそうで、淡路の佇まいと芝居を見た現在72歳の石橋さんが、思わず「さすがだなぁ。自分なんかまだまだだ」と呟いたという話もあるほど。本作の淡路さんを始め、みずみずしく温かなその言葉で多くの人を勇気づけた詩人・柴田トヨを描いた映画『くじけないで』では82歳の八千草薫、中国人青年とひとりの老婦人が囲碁を通して出会いをきっかけに国を越えた絆を描く『東京に来たばかり』では72歳の倍償千恵子…と、この冬公開される映画には、まだまだ元気な70代・80代の大ベテランたちがその名演を披露している。少し辛口で、それでも優しい人生の先輩たちからのアドバイス。人生に迷ったそのとき、彼女たちの言葉に耳を傾けてみるのもいいかもしれない。『四十九日のレシピ』は11月9日(土)より新宿バルト9、有楽町スバル座ほか全国にて公開。