『ピュ~ぴる』の松永大司監督が35mmで撮った短編作品があると。本人に伺ったところ『ピュ~ぴる』のDVD特典に入ってるんだよ、と。そうだ。ピュ~ぴる、私は劇場で観たんだった。いじめられっこの二人。中学生。キスなんて、まだしたことない。女の人、知らない。助かるなんて期待してないけど 助けてもらいたい。一人ぼっちだけど 二人で役にも立てないようだけど 心強くて。校舎裏でずっと一緒にいじめられてる友達に「キスして」って膝を抱えて頼む主人公。「は? おまえ男好きなの?」「したことないんだ」「…じゃ、いつかすればいいじゃん」「誰でもいいんだ。目つぶっちゃえば見えないから」友達が返してあげられるのは、精一杯の普通な返事。そこからラストまで一瞬も目が離せなかった。エモーショナルなカメラにトイレの乱闘シーンは 自分まで過去そこにいたかのような気分になった。風景じゃなく芝居を撮るカメラ。ストーリーより人を見せたい監督。ひたひたと伝わって来る、人を見つめる覚悟。なんて透度の高い作品を撮ってしまうんだろ。信頼出来るなあ……とつくづく思う。松永さん。新作は、ドキュメンタリー映画『HYBRID』。楽しみです。玄里玄里OFFICIAL facebook