多くの人々にいまなお愛されている“永遠の妖精”オードリー・ヘプバーン。彼女の幻の未公開作がこのほど発掘された。その名も、『マイヤーリング』。今冬、日本でも劇場公開されることになり、その貴重なビジュアルが到着した。19世紀後半のオーストリア=ハンガリー帝国。不幸な結婚生活を送っていた皇太子・ルドルフは、何人もの女性と浮き名を流していた。ある日、17才の男爵令嬢・マリーと運命の出会いを果たし、プロポーズするが、スキャンダルを恐れた皇帝が2人の仲を引き裂こうと策を練るのだった…。1993年1月20日に63歳でこの世を去ってからも、若い女性のファッション・アイコンとして絶大な人気を誇るオードリー。CMなどで在りし日の姿を見るたびに、いまも変わらぬときめきを与えてくれる存在だ。1957年当時のオードリーは、『パリの恋人』や『昼下りの情事』に出演し、その美貌は絶頂期にあった。1930年に書かれた悲恋小説『うたかたの恋』を原作にした本作は、米NBCのブロードキャスト映画シリーズ「プロデューサーズ・ショーケース」の目玉企画として、1957年2月4日20時から、全米でただ一度だけOAされたTV映画で、まだ新婚だった最愛の夫メル・ファーラーと共演している貴重なものとして大きな注目を集めた。当時のTV映画としては破格の製作費50万ドルを投入。監督には、同じ題材を使った1935年のフランス名画『うたかたの戀』(シャルル・ボワイエとダニエル・ダリュー共演)を始め、数々の名作を監督していたアナトール・リトヴァクを起用し、衣装にはアカデミー賞を3度受賞したドロシー・ジーキンズ(『サウンド・オブ・ミュージック』『緑の館』など)ら、豪華スタッフを結集した。さらに、当時のTVショーはライヴ放送だったため、演技シーンは緊迫感のある生放送での演技となっているのも見どころだ。そのOA以降は、どの国でもまったく観る機会のない幻のヘプバーン主演映画として、その名前だけが伝説化していたが今回、当時のTV録画技術で保存されていたマスター版をHDで復元した。没後20周年にあたる今年6月には、ドイツ・ミュンヘンのヘプバーン記念展においてワールド・プレミア上映が行われており、いよいよ満を持して日本にも上陸する。公開されたビジュアルでは、幸せそうに微笑むオードリー。この恋の行方を想像しつつ、世界観を感じてほしい。『マイヤーリング』は今冬、全国にて公開。