植田正治は、世界で最も注目された日本人写真家のひとりだ。今年2013年は、写真界の巨匠・故・植田正治の生誕100周年にあたる。これを記念して、生地である鳥取県の「植田正治写真美術館」では、4月から11月まで3回にわたる特別企画展を開催している。期間中は、特別企画展のほか、ワークショップ、フォトコンテストなどのイベントも開催する。7月13日(土)よりスタートする特別企画展の第2弾「植田正治生誕100年特別企画展 SHOJI UEDA : DUNES」では、植田がこよなく愛した「砂丘」をキーワードに、演出写真やファッション写真を紹介し、あらためて「植田ワールド」の魅力に迫る。広大な空間にヒトやモノをまるでオブジェのように配した植田独自のスタイルは、国内外で高く評価されており、写真誕生の地フランスで日本語表記のまま「Ueda-cho(植田調)」という言葉で紹介されている。その舞台は、鳥取砂丘にとどまらず、三宅島や渡良瀬川遊水地、さらにはスタジオ内に設置されたジオラマなど多彩だ。モダンで、ユーモアさえ醸し出すモノクロームのプリントに写されたのは、シンプルでありながら、見る者を一瞬で異世界へと誘う求心力。時代を超える植田の傑作をじっくり味わいたい。また会場となる「植田正治写真美術館」は都心から遠く離れてはいるが、高松伸が設計したモダンな美術館からは、日本名百景にも選ばれている鳥取県と岡山県をまたぐ「大山」が眺められる。会期は、9月29日(日)(火曜日休館)まで。