美しくなる過程まで美しくてこそ美人、と教えてくれたのは母だっけ。行きずりに見つけた美容雑誌の売り文句だった気もする。でも確かにそうだと思う。http://0369.jp/デジタルでモノクロを撮ってみたかった、という林監督。私が初めて『弥勒』を観たのは去年の冬、Theater tokyoでの試写上映。DCPじゃなくブルーレイだったし映し出されるのはスクリーンじゃなくてごわごわした白壁だった。それが、抜群にかっこよかった。多くの場合白と黒のコントラストは黒がメインに感じるのだけどこの映画は白だ。迷いのない、白。作られるまでの過程、作られてからの上映・配給、映画自体すべてが唯一無二で美しい映画と思う。造形大学の学生90人によって作られた圧巻の美術は繊細で(香り立つほどの熱量やキモチ、そして才能。大事。)第一部は京都造形大学演技科の学生四人が主演、第二部は永瀬正敏さんが主演という構造。自分の夢を追い求めて、小説家という表現者創造者になった男の苦労と末路を描く。「生の真実」を問いかけ映画を撮り続けるイ・チャンドン監督と林海象監督の対談に同席させてもらって印象に残ったのは「第二部にいるのはクリエーションを続ける私たちの姿。あそこからは逃げ出せない」と語る監督たちの小さな声でした。どれほどの覚悟をしたらとどまれるのだろう。私の仕事は“表現”することが主で、むしろ媒介だから創造する人ってすごいと思う。200%の敬意を払わねばと思う。0から1を作る人たち。これから映画『弥勒』が挑むのはまず6月14日(金)世界遺産である、鴨下神社での奉納上映。続いて京都文化博物館、京都芸術劇場、神戸のデザインクリエイティブセンターで公開される。配給会社を挟まない自分たちによる宣伝活動は文字通り、人から人の手へ伝わって行く。やり方に正解はないから。確か最初の呼称は『謎の映画、弥勒』だった。謎の映画を作った林監督は謎の女と私を呼んで気付けば私はどっぷり弥勒の世界に引きずり込まれてる。きっと「謎の…」は林監督なりの褒め言葉。その優しさは勿論この人の美意識、みたいなのがすごく好きだ。新世紀映画『弥勒』。ヒットする映画は数多、でも時間の重みに耐えられる映画って少ない。どうか時代を越えて愛される名作になりますように。さて、名作を名作にするのは私とあなたをを含む観客たち。観て下さいね、弥勒。チケットの予約はこちらから。http://0369.jp/news.php?keyno=65『弥勒』(2013年)---------------------------------------脚本・監督: 林 海象 撮影: 藤本啓太 監督原作: 稲垣足穂「彌勒」プロデューサー: 高橋伴明ポスターデザイン: 大月雄二郎宣伝サポート: 河村充倫 / theatre tokyo出演:永瀬正敏/土村 芳 井浦 新 四谷シモン 佐野史郎弥勒公式HP:http://0369.jp/玄里Official Facebook Page