「Christian Dior(クリスチャン・ディオール)」のオート・クチュールの売上げが前年比で24%上昇した。同ブランドの2012年度総売上高は12億4,000万ユーロ(約1,568億円)を記録し、2011年度と比較すると約25%もアップしている。2012年度の大幅な売上増は、ジョン・ガリアーノの解雇後、2012年4月にラフ・シモンズが同ブランドのクリエイティブ・ディレクターに就任し、デビューを飾った2012年秋/冬のオート・クチュール・コレクションが大成功を収めたことが売り上げアップの要因のようだ。同ブランドの広報担当者は「今回の結果は、弊社の製品の卓越した品質の高さとストアの魅力が再評価されたことを証明しています」と誇らしげに語っている。そんな成功の立役者となったシモンズ氏は最近、ジョンが目指した奇抜なデザインから一新させ、ブランドの原点に回帰して“日常的に身に付けられる”ブランドにしたいと語っていた。「創業者クリスチャン・ディオールは、人々に自分のブランドの品々を身に付けて欲しいと熱望していました。私も一般の人々に『Dior』を日常的に着て欲しいと思っています。もし日常で着る服としてマッチしないなら、つまりは非常にシアトリカル(演劇的、過剰な演出の意)だということですよね」。さらに、シモンズ氏はフェミニン路線を歩んできた同ブランドの方向性を変えることはないと続けている。「ミニマリストと呼ばれることに抵抗があるとは言いません。ただ、ミニマリストというだけではないんです。私はロマンチックな人間でもありますから。最もインスピレーションを受けるのはフェミニティですね…美しく、時代を超えて愛されますから」。「私はクリエイティビティそのものや、その進化、そしてそれらといまの時代の関係性に興味を持っています。『Christian Dior』に従事している今、私は『Dior』創業当初の方向性、伝統などを尊重したいと思っています。もし私がただミニマリストなだけの人間だったら、そもそも『Dior』とは契約を結びませんよ。私はちゃんとそのブランドのカラーに合わせることができるのです」。