ジェラール・ドパルデューの息子で、『ポーラX』や『天使の肌』などで知られる俳優のギョーム・ドパルデューが急性肺炎のため、パリ近郊の病院で13日午後に亡くなった。享年37。ギョームは数週間前からルーマニアで新作『L'Enfance d'Icare』(原題)を撮影中だったが、そこでウイルスに感染、肺炎にかかり、亡くなる3日前からパリ近郊のガルシュの病院に入院していた。ジェラール・ドパルデューと当時の妻で女優のエリザベートの間に1971年に生まれたギョームは、幼い頃から父の主演作でエキストラを務めるなど、映画の現場に親しんでいた。少年院に入るなど、10代は荒れた生活を送っていたが、20歳のときに『めぐり逢う朝』に主演し、若手のホープとして脚光を浴びた。父親譲りの才能で順調に主演作を撮り続ける一方で、偉大すぎる父の存在に苦しみ、アルコールやドラッグに溺れた日々を過ごしたこともあった。1995年にオートバイで事故を起こして右足に大けがを負い、17回もの手術を繰り返した8年後に切断という悲劇を経験している。苦難に満ちた半生は同世代の俳優にはない陰影を彼に与え、今年4月に日本公開されたジャック・リヴェット監督の『ランジェ公爵夫人』(写真)をはじめ、数々の作品で怪演を見せていた。志半ばで倒れた彼の冥福を心から祈りたい。『ランジェ公爵夫人』公式サイトhttp://www.cetera.co.jp/Langeais/