世界最大の映画の祭典「第90回アカデミー賞」授賞式がいよいよ3月5日(日本時間)に開幕!
作品賞・監督賞・主演男優賞・主演女優賞・助演男優賞・助演女優賞・長編アニメーション映画賞のノミネート作品一覧を公開。オスカー像を掴むのは果たしてどの作品? ★マーク:受賞
作品賞
監督賞
主演男優賞
主演女優賞
助演男優賞
助演女優賞
長編アニメーション映画賞
今年で90回目を迎えるアカデミー賞。これだけ長い歴史の中で、今年のノミネーション結果ほど世相に左右された年はあっただろうか。3月4日(現地時間)に予定されている授賞式の注目ポイントをロサンゼルス在住のライターが現地目線でレポート!
今年のアカデミー賞の目玉は最多13部門のノミネートを受けた、ギレルモ・デル・トロ監督作品『シェイプ・オブ・ウォーター』がオスカー像をいくつ受賞できるか、デル・トロ監督が『ダンケルク』のクリストファー・ノーラン監督を破って初の監督賞受賞なるか、そして極め付けが、「人種問題」と「セクハラ疑惑」の話題という隠れたテーマだろう。
ハリウッドのセクハラ問題は記憶に新しいところ。だが、アカデミー賞周辺の人種問題に関してはかなり昔から問題とされていた。去年アカデミー賞主要部門の候補者たちがあまりに白人だらけだったため世間がついに立ち上がり、「米国映画科学芸術アカデミー(通称AMPAS。アカデミー賞の総括本部)は、白人優位主義だ!」と厳しい非難が噴出した。ソーシャルメディアでは、#OscarSoWhite (= 白すぎのオスカー)のハッシュタグがトレンドして、アカデミー賞が悪い意味で前代未聞の大ニュースとなってしまったわけだ。
この反動からAMPASは人種多様性を意識した会員招待策を打ち出し(アカデミー賞の投票権を得るためにはAMPASから招待された会員にならなければいけない)、多数のマイノリティ俳優、映画スタッフがAMPAS会員となり、今回のアカデミー賞候補者決定のための投票にも参加した。
こういった観点から、授賞式では主演男優賞候補のひとりであるダニエル・カルーヤ(『ゲット・アウト』)と同じく『ゲット・アウト』で監督賞候補に挙がっているジョーダン・ピールの動向を見るのが面白いだろう。これまでの統計を見ても、アフリカン・アメリカンがアカデミー賞候補になる難しさは言わずもがな、SFとホラー作品でアカデミー賞候補になるのは極めて困難だった。にも関わらずダニエルがノミネーション必至と言われていたトム・ハンクスすら差し置いて候補にあがり、ピール監督はあのスピルバーグ監督を選外としてのノミネーションと、前代未聞の事態が起きている。アカデミー会員(=投票者)の多様性と相まって会員が投票対象とする映画の好みも多様化してきているのだ。アカデミーの新ポリシーがノミネーション結果に反映された興味深い結果といえる。授賞式司会を務めるジミー・キンメルが、これをネタにどんな際どいジョークを飛ばすかもみどころ。
アカデミー賞授賞式では、映画業界に蔓延するセクハラ問題も話題になること請け合いだ。セクハラ疑惑で業界から干された大物プロデューサーのハーヴェイ・ワインステイン、去年の半ばには『オール・ザ・マネー・イン・ザ・ワールド(原題)』の名演でアカデミー賞の呼び声すら高かったケヴィン・スペイシーが会場に姿を見せないのは無論、先日には去年セクハラ問題が浮上したにもかかわらず主演男優賞を受賞したケイシー・アフレックが、主演女優賞のプレゼンターを辞退するというニュースもあった。彼の代わりに誰がプレゼンターになるのかも見ものだ。去年は、封筒取り違え事件というすごいオマケがあったが、今年の授賞式ではどんなハプニングが起きるかも乞うご期待。(text:Akemi K. Tosto)