「検挙率ナンバーワン」といわれる警視庁の女刑事・雪平夏見は、24年前の父の死の真相を知るため、亡き父と同じ刑事の道を選んだ。犯罪を憎む気持ちは誰よりも強く、揺るぎない正義感の持ち主で、犯人逮捕のためなら手段も選ばず、捜査では単独行動を取ることもしばしば。それが時として暴走気味になることも多く、上司の小久保(阿部サダヲ)は彼女を目の敵にする。だが、そんな型破りな一面は彼女が優秀な刑事であることの裏返しでもあり、検挙率ナンバーワンと呼ばれる所以でもある。
“黒のロングコート”は、そんな雪平のいわばトレードマークだ。かつて、未成年の犯罪者(三浦春馬)を射殺してからというもの、彼女は足元まで隠れるほどの黒のロングコートをはじめ、基本、黒のパンツスーツしか身につけなくなった。その姿はまるで、“犯人を射殺したことのある唯一の現役刑事”として、悔恨や鎮魂を示しているようにも見える。とはいえ、その件でマスコミに責められ、また同じような状況になったらどうするのかと問われても、「撃ちますよ、迷わずすぐに」と即答する雪平。それは目の前の犯人に、殺人はもちろん現状以上の凶行に及んでほしくないからこそ。そんな彼女の思いは、世間やマスコミはもとより警察関係者にも理解されず、ときに彼女を孤立させていく。
「大丈夫か?」彼女の数少ない理解者であった同僚たちは、そう声をかける。そのたびに「そんなことより」と、悪を追うことを優先させる雪平。だが一方で、その言葉をかけてくれた、心から信頼を寄せていた者たちに、ことごとく裏切られてきた過去もある。それでも彼女が人を信じることをあきらめないのは、その人間に対して常にフェアでありたいから、なのかもしれない。
「アンフェアなのは誰か」と記されたしおりを、今回の事件で再び見つけたのは、犯罪現場で“雪平の儀式”を行っているときだった。彼女はいつも“被害者が倒れていた場所に同じように横たわる”という独特の“儀式”を行う。それも、亡き父との思い出がつまった「きらきら星」をハミングしながら。父の殺害現場から始まったこの“雪平の儀式”では、普段は“決して人前では涙を見せない”彼女が、そのときだけひと筋の涙を流す。「被害者が最後に見たものをこの目で確かめたい」「死んだ人間の声が聞こえる気がする」という雪平。犯罪を許さない正義感や刑事としての使命感だけではない、肉親を殺された被害者としての気持ちが彼女をそうさせているのだ。
また、バツイチで子持ちの雪平の存在は、男性が圧倒的に多い警視庁捜査一課にあっては異色。そんな彼女が誰よりも大切に思っているのが、ひとり娘の美央(向井地美音)。幼いころの美央は、雪平の未成年を射殺した一件が引き金となり、言葉を発することができなくなってしまい、父親の佐藤和夫(香川照之)と暮らしていた。その件をはじめ、数々の事件に愛娘を巻き込み、何度もその命を危険にさらしてしまったことで自分を責める雪平は、刑事をやめようとしたことも。美央が8歳のころ誘拐事件に遭ったときには、取り乱しながら「美央を殺さないで!」と犯人に懇願したこともあった。不器用だが娘を心から愛する雪平と同じように、美央もまた「警察やめないで。悪い人をやっつけて」と刑事としての母を信じ続けてきた。雪平にとって、そんな娘・美央は誰よりも大切で特別な存在であると同時に、最大にして唯一の弱点でもある。
「無駄に美人ですね」と、かつての相棒・安藤(瑛太)に言われたことのある雪平は、今回は事件のカギを握るシステムエンジニアの津島(永山絢斗)にも同じことを言われる。その言葉に対する彼女なりのお返しといえば、「バカか、お前は」。雪平自身、刑事というハードな職務をこなしながらも、“女であることを捨てたことはない”というが、その美貌とストイックに信念を貫く姿勢は、彼女をとりまく男たちに少なからずの影響を与えてきた。
警察内部の不正に関する機密データを手にして赴任した北海道警西紋別署では、刑事課長の一条(佐藤浩市)と出会い、恋に落ちる。過去にも、元夫の佐藤や相棒だった安藤をはじめ、推理小説殺人事件の瀬崎(西島秀俊)、公安部時代の上司・斉木(江口洋介)、エリート検事の村上(山田孝之)、猟奇殺人鬼の結城(大森南朋)、さらにコワモテの下に情に厚い一面を隠す元上司・山路(寺島進)や“特殊任務”で何かと力を借りてきた“薫ちゃん”こと検死官の三上(加藤雅也)、また、新たに出会った津島や最高検察庁の検察官・武部(AKIRA)など、彼女が関わってきた男たちはいつも雪平に翻弄され、そして雪平を翻弄し、その運命を狂わせてもきた。一条も、改めて“信じたい”と心から思える男だったはずなのだが…。
大酒飲みでズボラ、自宅では裸族、眠るときも真っ裸。部屋の中は足の踏み場もない、俗に言う“片づけられない女”の雪平。“デキる”モテ女とはとても思えないほど、捜査に関すること以外、徹底して無頓着なのは、プライベートは誰にも、何事にも束縛されたくない、そんな彼女の意志の表れのようにも思える。普段は覆い隠している“素の雪平”を知る者は、そう多くはない。いま、彼女は誰のために、その肌を見せるのだろうか?
ネイルガン殺人事件から、4年――。元夫の命と引き換えに、国家を裏で操る秘密組織の機密データを手に入れた雪平夏見は、最も効果的な反撃の方法を探していた。そんな中、転落死体が発見され、現場で雪平は、一枚の栞を見つける。それは10年前の「推理小説事件」から始まる一連の事件で使用されたものと同一の栞だった。そこには、『アンフェアなのは誰か?』の文字が…。
CAST:
篠原涼子
永山絢斗
阿部サダヲ
加藤雅也
向井地美音
AKIRA
寺島 進
佐藤浩市
監督:佐藤嗣麻子
原作:秦建日子
脚本:佐藤嗣麻子
製作:横澤良雄、石原隆
オフィシャルサイト:http://unfair-the-end.ponycanyon.co.jp/
提供:ポニーキャニオン
©2015 関西テレビ放送/フジテレビジョン/ジャパン・ミュージックエンターテインメント/東宝/共同テレビジョン
外装・封入特典
40Pブックレット、アウターケース
特典映像
本編DISC:●予告編集、CM集
特典DISC:
①メイキング・オブ・アンフェア the end~さよなら 雪平夏見
②公開記念特番「アンフェアな出演者マジ飲み暴露大宴会SP」
③イベント映像集(完成プレミア、初日舞台挨拶、大ヒット舞台挨拶)
音声特典
篠原涼子×佐藤嗣麻子監督×稲田秀樹プロデューサー オーディオコメンタリ―
【DISC1:本編Blu-ray】
マスターグレードビデオコーディング
収録時間:本編108分+特典(予告、CM集)10分
16:9 / ビスタサイズ / 片面2層
《音声》
①本編音声 2.0chサラウンド DTS-HD Master Audio
②本編音声 5.1chサラウンド DTS-HD Master Audio
③本編音声 DTS Headphone:X
④音声ガイド版本編 2.0ch ドルビーデジタル
⑤コメンタリー(篠原涼子×佐藤嗣麻子監督×稲田秀樹プロデューサー) 2.0ch ドルビーデジタル
《字幕》
日本語字幕
【DISC2:特典Blu-ray】
収録時間:144分 / 16:9 / 片面2層
《音声》
日本語 2.0ch ドルビーデジタル
PCXC.50118 / ¥7,600(本体)+税
【DISC1:本編DVD】
収録時間:本編108分+特典(予告、CM集)10分
16:9 / ビスタサイズ / 片面2層
《音声》
①本編音声 2.0chサラウンド ドルビーデジタル
②本編音声 5.1chサラウンド DTS
③音声ガイド版本編 ドルビーデジタル
④コメンタリー(篠原涼子×佐藤嗣麻子監督×稲田秀樹プロデューサー) 2.0ch ドルビーデジタル
《字幕》
日本語字幕
【DISC2:特典Blu-ray】
収録時間:144分 / 16:9 / 片面2層
《音声》
日本語 2.0ch ドルビーデジタル
PCBC.52484 / ¥5,700(本体)+税
特典映像 予告編集、CM集
音声特典 コメンタリー(篠原涼子×佐藤嗣麻子監督×稲田プロデューサー)
本編108分 / 片面2層 / 16:9
《音声》
1.本編音声 2.0chサラウンド DTS-HD Master Audio
2.本編音声 5.1chサラウンド DTS-HD Master Audio
3.本編音声 DTS Headphone:X
4.音声ガイド版本編 2.0ch ドルビーデジタル
5.コメンタリー 2.0ch ドルビーデジタル
《字幕》
1.日本語字幕
PCXC.50119 / ¥4,700(本体)+税
本編108分 / MPEG-2 / 片面・2層 / 16:9
《音声》
1.本編音声 2.0chサラウンド ドルビーデジタル
2.本編音声 5.1chサラウンド DTS
3.音声ガイド版本編 ドルビーデジタル
4.コメンタリー 2.0ch ドルビーデジタル
《字幕》
1.日本語字幕
PCBC.52485 / ¥3,800(本体)+税
『アンフェア the movie』© 2007 関西テレビ放送 フジテレビジョン 東宝
『アンフェア the answer』© 2011 アンフェア製作委員会