20年前、イラン第2の都市にしてシーア派の聖廟都市であるマシュハドは、連続殺人事件に恐れおののいた。厚い信仰心をもつ工事現場作業員サイードが、汚れた社会を清浄化するためにと売春婦を次々と自分の家に誘い込み殺害したのだ。サイードは世の中の腐敗分子を一掃するにはこれが一番の方法だと信じ込んだ。被害者の女性たちは家族を養うために仕方なく売春をしていただけだ。彼女らは悪人ではないのに、社会が彼女らを暗い街角に立たせた。しかし、それをサイードは知る由もなかった。
エブラヒム・イラジュザード