名古屋闇サイト殺人事件。2007年8月24日深夜。帰宅途中の女性が拉致、殺害され、山中に遺棄された。犯人は、携帯電話のサイト“闇の職業安定所”で知り合った3人の男たち。マスコミの報道は過熱、娘を奪われた母は加害者全員の死刑を望んだ。しかし、立ちはだかったのは「1人の殺害は無期懲役が妥当」という判例。母は街頭に立ち、極刑を求めて約33万筆の署名を集めた。裁判は1人が死刑、2人に無期懲役。その後、無期の1人に別の強盗殺人の余罪が発覚し、死刑が確定した。事件発生直後から被害者の母を取材してきた東海テレビは、ドキュメンタリー「罪と罰~娘を奪われた母 弟を失った兄 息子を殺された父~」を放送。その後も撮影を継続し、死刑執行後に犯人の父親の肉声を収録。しかし、それだけでは表現できないことがあった。それは、事件前の母と娘のかけがえのない日々。母を斉藤由貴、娘を佐津川愛美が演じ、在りし日の家族を蘇らせ、凄惨な事件を起こすに至った男の生い立ちを浮かびあがらせる。
齊藤潤一