間もなく結婚5周年を迎えるバツイチ同士の夫婦、さおりと慶介。ある日、さおりは犬の散歩中、積み枝の前に見たことのない穴を発見する。風が起こり、音が吸い込まれるような不可思議な体験をするさおり。それ以来耳鳴りが起こり、さらには夫の立てる些細な音にも敏感になってしまう。夫や仕事に不満を抱えることなく暮らしていた日々が一変、気づかぬうちに積み重なっていた鬱屈が頭をもたげ始める。軋み出す夫婦関係を守るために、さおりは何に向き合うのか。
梅沢壮一