僕は生きるために消すことを決めた。30歳郵便配達員、余命あとわずか。そんな僕の前に僕と同じ姿をした悪魔が現れた。大切なものと引き換えに1日の命を与えるという。何かを得るためには何かを失わなくてはならない。電話、映画、時計…そして猫。失われていく世界のなかで僕はかつての恋人に再会する。かつて愛し、別れた時を思い出していく。親友そして疎遠になってしまった父の想いに触れていく。果たして僕が見つけたのは亡き母が残した手紙だった。そして人生にとって最後の日、僕はある決断をする。
永井聡