19歳の少女ハーリーはニューヨークの路上で刹那的な毎日を過ごしていた。ホームレス仲間でもあるエキセントリックな恋人のイリヤは、彼女が生きる理由そのものだ。だから、イリヤが手首を切って自分への愛を証明するように求めたとき、すぐにその願いを受け入れてしまう。それはハーリーが自分の命を削ってでも求めようとする、もう一つの大事なモノ─ヘロインの影響でもある。自殺は未遂に終わるものの、イリヤは何の知らせもなくハーリーの前から姿を消してしまう。精神病棟から退院した時、友人のスカリーは言った。「あんな男のどこがいいんだよ?」確かにイリヤは最悪な男だ。ハーリーにドラッグを教え、歪んだ愛で彼女を束縛した。その事実を指摘されるとハーリーは苛立って、スカリーを拒絶する。 身体の傷よりも、心の傷の方が重傷だ。ハーリーはドラッグディーラーとして生計を立てる青年マイクと共同生活を始める。ドラッグに耽り、物乞いや盗みをして毎日を過ごすハーリーだったが、距離を置いたイリヤへの想いをどうしても断ち切ることができないでいた。マイクがイリヤと揉めて喧嘩になっても、その気持ちは変わらない。「お前は相手を間違えた。こんなのは真の愛なんかじゃない」となじるマイクに対し、ハーリーは「そんなことない!」と言い返すのだった。 ある夜、仲間のエリカが電話をかけてくる。イリヤがマクドナルドのトイレでオーバードーズをして、意識不明の状態に陥ったという。ハーリーは夜の街を走り抜けて、現場に駆けつけるが……。
ジョシュア・サフディ
ベニー・サフディ