1918年。芸術の都・ウィーンの栄光は、まさに終焉を迎えようとしていた。そして、絵画に新たな潮流を生み出した稀代の画家、グスタフ・クリムト(ジョン・マルコヴィッチ)もまた、命の灯火を消そうとしていた。脳卒中で倒れ、病院に運ばれたクリムト。しかし、彼を見舞うのは愛弟子のエゴン・シーレ(ニコライ・キンスキー)ただひとり。発作に苦しみ、朦朧とした意識の中、クリムトの目には、栄光と挫折の人生がよみがえる。まるで寓話に満ちた彼の絵のように…。第28回モスクワ国際映画祭コンペティション部門においてロシア批評家連盟賞受賞を受賞。クリムトに扮するのはその演技に絶大な信頼を寄せられているジョン・マルコヴィッチ。監督・脚本は、鬼才との呼び声高い独特の演出、寓意に満ちたカメラワークをみせる『見出された時―「失われた時を求めて」より―』のラウル・ルイス。
ラウル・ルイス