玉石混交。“ブーム”として長引けば長引くほど、まさにこういった状況になってきている韓流ブーム。人気スターの過去をさかのぼり、昔の出演作がTVで流れたり、公開されたり。数が多くなればなるほど、“石”の割合も多くなるのも当然です。
本人はちっともファッショナブルじゃないのに、小粋な映画を作る人というのがいます。ウディ・アレンなんてその最たるもの。美男子とは言い難いし、着ているものもイカしているとは言い難い。でも、そんな彼が生み出す恋愛劇はおしゃれで粋。音楽までもハイセンスときています。
いくつになっても美しい、とか、年を経るごとに輝きを増す、というのは女性にとっての憧れ。こんなことを誰かに言われたら、その後、一週間ぐらいは夢見心地。それが女心ってものです。それがお世辞であったとしても。
人と人が「別れる」というのは不思議なことです。たとえその人と2度と会わないとしてもその人との思い出がなくなるわけではありません。本作で先日のアカデミー脚本賞を受賞したチャーリー・カウフマンの脚本はそんな矛盾を思いもよらないやり方で描き出しています。まるでパズルのように複雑なカウフマンの脚本とミシェル・ゴンドリー監督の想像力あふれる映像が生み出した独特の世界は、まさにこの2人にしか作りえないものです。
度々友人と議論するのですが、恋が終わった時、相手に貰った物や写真を全て捨てる人と、思い出として取っておく人と分かれます。その恋が忘れたいものなら、物はゴミに出したり燃やしたり出来ますが、記憶はゴミのように捨てることが出来ません。この物語に出てくる“記憶を消す会社”が実在するとすれば別ですが……。物語の主人公、ジョエルは元恋人を忘れるために記憶除去を決断します。使用されるのは思い出の品の数々。彼女からの手紙、一緒にお金を貯めた貯金箱…。これらを使って記憶をよみがえらせては消し、出会う前の白紙の状態まで戻って行きます。
単なる偶然か、はたまた編集部の思惑か、奇しくも『ネバーランド』に続き、ケイト・ウィンスレットの出演作レビューすることになりました。白状すると『タイタニック』の頃から苦手な女優さんだったのですが、それは食わず嫌いだったのかもしれません。本作といい『ネバーランド』といい、時間が彼女を熟成したのでしょう。嫌みなくかつ巧みな演技は見事です。ストーリーに関しては編集部のふたりが書いている通りですが、時間を遡っての紐解かれる出会いと別れ、映像と音楽による演出も巧みで、自然とストーリーに引き込まれていく感じは悪くないです。
第77回アカデミー賞授賞式が行われた2月28日朝(日本時間)。ノミネートされた人々は、それぞれに違った輝きを見せていて、実のところ誰が一番だなどと決められないもの。それをあえて…というのが、一興なのだと思います。