テレビ東京で放送されている時代劇『暗行御史<アメンオサ>~朝鮮秘密捜査団~』では、キム・ミョンスが演じているソン・イギョムが暗行御史として地方の不正官僚を摘発している。彼は国王からあつい信頼を受けているのだが、王宮の中の権力闘争に大きな影響を受けてしまう。
【関連】テレビ東京で放送中『暗行御史<アメンオサ>』の歴史解説ポイントはどこなのか
その王宮では、2人が激しく対立していた。1人は、領議政(ヨンイジョン)のキム・ビョングン(ソン・ビョンホ)である。領議政といえば政治を仕切る官僚のトップだ。現在なら総理大臣に該当する最高峰の立場だ。
もう1人は、都承旨(トスンジ)のチャン・テスン(アン・ネサン)だ。都承旨というのは、国王の秘書室長であり、国王にピタリと寄り添って高官たちに王命を伝達する役割を受け持っている。本当に重要な立場だったのだ。
以上のように、王宮で要職に就いている2人の権力闘争は深刻だが、イギョムを支えているのはテスンのほうだった。彼は国王の王権をしっかり守るために日夜奮闘しており、王宮の中でも良識を持った人物だと言うことができる。
一方のビョングンは狡猾な官僚である。領議政という重職にありながら権力を独占することしか考えていない。しかも、不正を働いている地方の官僚と結託して巨額の資金を集めようとしている。彼の周りにいる官僚たちも、平気で悪事に加担するような連中だった。

領議政と都承旨の激しい戦い
結局、ビョングンとしては、イギョムが暗行御史として活躍したら困るのだ。自分の悪事がどんどん暴かれてしまうからだ。
テスンのほうは、イギョムの活躍によってビョングンの悪事を一気に暴露しようとしている。それゆえ、テスンは情報網を駆使してイギョムの後方支援に尽力しているのだ。このように、イギョムが地方で不正を働く官僚たちを摘発している間に、都では領議政と都承旨の激しい戦いが続いていた。
このあたりの権力闘争を理解しておくと、佳境に入って来た『暗行御史<アメンオサ>~朝鮮秘密捜査団~』の構図がくっきりと見えてくるだろう。
文=大地 康
■【関連】【韓国ドラマのハングル活用術】キム・ミョンス『暗行御史』でこんな古い言葉を覚えられる