2016年に大評判になったtvNドラマ『シグナル』。そのシーズン2の制作が決まり、来年上半期に放送される予定になっている。『シグナル』といえば、過去から来た信号(無線)でつながった現在と過去の刑事たちが、未解決事件を改めて捜査するという刑事ドラマだ。主役だったキム・ヘスが、再び『シグナル』シーズン2で卓越した演技を十分に見せてくれるだろう。
そんなキム・ヘスが主演したスリル満点のサスペンス巨編が『未成年裁判』(2022年)である。彼女の演じたシム・ウンソクは地裁の少年刑事合議部・右陪席判事。冷徹なまでに鋭い知性を持ち、卓越した能力を備えていた。
同時に、個性も強烈だ。決して他人と歩調を合わせようとしない。シム・ウンソクは自らの信念を貫き、揺るぎない正義感を胸に秘めている。その厳格さは、まるで鋼のように硬く、孤高の存在であることを強く印象づける。
一方、左陪席判事のチャ・テジュ(キム・ムヨル)は、真逆の存在である。温かみのあるまなざしを持ち、人の心に寄り添うことを重んじる優しき判事だ。
冷徹なシム・ウンソクと情に厚いチャ・テジュ。その対比が鮮やかであるがゆえに、シム・ウンソクはしばしば誤解を受けることになる。しかし、彼女は決して揺るがない。法の原則を貫き、己の信じる正義の道をまっすぐに進んでいく。

韓国ドラマ界を代表する女優
そうしたシム・ウンソクを演じたキム・ヘスの表現力が圧巻だった。冷たい眼差しに込められた鋭さが画面に張りつめた空気を生み出していた。彼女が歴然と存在するだけで、一つひとつのシーンがゾクゾクするような緊張感を帯び、『未成年裁判』という作品全体に凛とした迫力を与えていた。
キム・ヘスは、どんな役を演じても、そのキャラクターの魂を見事に吹き込む稀有な女優である。特に、『未成年裁判』では鋭さと孤高さを全身で表現し、視聴者の心に強烈なインパクトを残した。こうして、キム・ヘスは韓国ドラマ界を代表する女優であることを改めて証明した。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)