Amazon Original映画『Broken Rage』より特別インタビュー映像が解禁された。
2月14日より配信が開始された本作は、北野武監督の最新作。日本の配信映画として初めて第81回ヴェネチア国際映画祭に正式出品され、高い評価を受けた。約60分の映画を前後半に分け、前半では裏社会と警察組織の骨太のクライムアクションを描き、後半は前半と同じ物語をコメディタッチでセルフパロディするという実験的な構成となっている。
この度解禁された映像で北野監督は、「これは映画界で初めてだろう、これをやったやつはいないだろうと思って、ほくそ笑んだ」と笑顔を見せる。
キタノ映画の特徴である“暴力”と“笑い”の融合が、本作ではより色濃く描かれているが、本作の“笑い”について、北野監督は「“笑い”としてはクスクスなんだよね。シリアスな映画で失敗したときに、笑っちゃう感じ。殺し屋というモノトーンな題材で、緊張させておいてクスクス笑うような感じを撮りたかった。お笑いを全面的に出したくなくて、シリアスだけど同じトーンでパロディにすると『こんなになっちゃうよ』っていうのがメインなんだ」と明かす。
また“笑い”を体当たりで表現した浅野忠信、大森南朋について、「浅野くんや大森くんたちは上手いからね!役者としてすごいところは、パロディのお笑い部分だと知っていても笑わせようとしないんだよね。ネタふりの前の(シリアスな)芝居とどう違うのかを分かっていて、大げさにボケようとはしない。言われたことをちゃんとやるから、作品を見たらそれがボケに見えるようになっている。それはすごいなと思う」と大絶賛。
『Dolls(ドールズ)』(02)、『アキレスと亀』(08)、『アウトレイジ 最終章』(17)、『首』(23)に続き5度目の北野作品への出演となった大森は、撮影をふり返って「真面目な方のパートに打ち合わせはないんですが、お笑いパートの打ち合わせはあって、監督の意図されているところや間、狙いについては(浅野くんと)けっこう話しました」と語る。
浅野は「突然監督が『これもやってみようか』という風にアイデアをくれるんです。それに追いつくために大森さんといろんな話をして、結果大森さんに頼りきりで、全負担をかけていたような気がします(笑)」と全力で臨んだ撮影の日々を回顧する。
続けて、「僕が笑わせようとすることで笑いが取れることは絶対にないと思っていました。これがお笑いのストーリーラインとして進んでいたとしても、真剣に受け止めて演じなければと思っていました」と、覚悟をもって熱演したことを明かした。
さらに大森は「『Broken Rage』は、今の北野監督の真骨頂であると思います。ある芸術家の生き様の断片を見ているようなイメージです」と北野監督の“新たな試み”について表現。
『首』(23)に続き北野作品への出演を果たした中村獅童は、「監督は時代の流れや、世の中がどんなものを求めていて、どんな風に昭和から平成、令和と時代が変わっていったことを、それを敏感に察知されています」と、北野監督への敬意を表する。
そして、北野監督作品には欠かせない俳優の白竜は「監督の中には、いろんな方向にいろんなアイデアがあると思うんです。これからもいろんなジャンルを撮るんじゃないかと思います」と、今後の北野監督への期待を語った。
映画界のレジェンドとなったいまも意欲的に制作を続ける北野監督は、本作を経て「たたき台となるストーリーから、いろんな監督にそのパロディを作ってほしいなと思います。方向やベクトルは見せたから、あとはいろんな人がチャレンジすればすごいものができるようになる」と、まだ見ぬ“映画の可能性”について期待を膨らませている様子だ。
既存の映画の常識に捕らわれない型破りな演出と、予測不能なストーリー展開で構成された本作。映画体験を一変させる“衝撃の60分”をぜひ体感して欲しい。
Amazon Original映画『Broken Rage』はPrime Videoにて独占配信中。
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