レンタルDVDが全盛だった2003年のカナダを舞台に、『ゴーストワールド』や『レディ・バード』の系譜に連なる主人公を描いた青春コメディ『I Like Movies アイ・ライク・ムービーズ』が、12月27日(金)に公開されることが決定した。
トロント国際映画祭で激賞され、史上最高のカナダ・コメディの1本に選出された本作は、2023年のバンクーバー映画批評家協会賞では最優秀カナダ映画賞、最優秀カナダ映画男優賞、最優秀助演男優賞、最優秀カナダ脚本賞の4部門を受賞。
そのほか各国の映画祭でも熱狂的に迎えられ、多くの賞を受賞しており、「カナダ映画の未来」と評された話題の青春ストーリー。
脚本・監督は、本作が長編デビュー作となるカナダ出身のチャンドラー・レヴァック。これまでにアーティストのMVを数多く手掛け、JUNO賞の受賞歴もあるチャンドラー・レヴァック監督は、短編映画を監督した後、2019年に政府母体の機関であるテレフィルム・カナダが主宰する新興映画製作者向けのプログラム「Talent to Watch」から資金提供を受けて本作を製作。
自伝的ストーリーながら女性である監督自身とあえて性別を変え、少年を主人公にすることに挑戦した。
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社会と折り合いをつけられず、思ったままを口にして周囲を傷つけてしまう主人公の少年ローレンスを演じたのは、カナダ出身の若手俳優でラッパーとしても活動しているアイザイア・レティネン。本作での演技が高く評価され、将来を期待される俳優として注目が集まっている。
ローレンスがアルバイトを始めるレンタルビデオ店の店長で、問題だらけの彼とふとしたことから奇妙な友情を育んでいくキーパーソン、アラナ役にはCSA(Casting Society of America)ベストアクトレスにノミネート経験のあるトロント出身の実力派ロミーナ・ドゥーゴ。
ほかには夫の死後、ローレンスと2人きりで暮らし、ときに言い争いながらも深い愛情でサポートする母親役にはカナダで110本以上の映画やテレビ番組に出演しているクリスタ・ブリッジスを起用。
大学生になったら生活を一新したいと考えているローレンスに、あくまで“仮”の友達だと言われてしまう相棒マット役にはパーシー・ハインズ・ホワイト。毎週末をローレンスと2人きりで過ごし、コメデイ番組SNL(サタデー・ナイト・ライブ)を愛するオタク友達を好演している。
熱狂的な信奉者を持ち、いまもファンを増やし続けている『ゴーストワールド』や『レディ・バード』の少年版とも評される本作は、どうしようもなくエキセントリックで切なく不器用な高校時代を描いた青春映画であるとともに、理想と現実の狭間でもがき苦しむ若者の普遍的な成長物語でもある。
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カナダ出身で『ウーマン・トーキング 私たちの選択』で知られる監督サラ・ポーリーが、「『I Like Movies』を観れば、きっと映画がもっと好きになる」とコメントを寄せている。
『I Like Movies アイ・ライク・ムービーズ』は12月27日(金)より新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国にて順次公開。