パキスタン映画として初めて出品された第75回カンヌ国際映画祭(2022年)でプレミア上映され、「ある視点」審査員賞とクィア・パルム賞を受賞した話題作『JOYLAND』が、邦題『ジョイランド わたしの願い』として10月18日(金)より日本公開が決定した。
本作はパキスタンの新鋭サーイム・サーディク監督による長編デビュー作。伝統的な価値観に縛られる若き夫婦が、そこから解放されて自分らしく自由に生きたいという願いの間で、揺れ動く姿が繊細に描かれる。
辛口で知られる映画批評サイト「ロッテン・トマト」でも98%(批評家スコア/6月6日時点)の支持を受け、フランスやアメリカ、イギリスなどでも大ヒットを記録。パキスタン映画として初めてアカデミー賞の最終選考に残り、2023年インディペンデント・スピリット賞外国映画賞などを受賞した。
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ところが、本国では保守系団体から「LGBTQ+や、彼らとの恋愛を美化して描いた」ことが「社会的価値観や道徳基準にそぐわない非常に不快な内容が含まれており、“品位と道徳”の規範に明らかに反する」と反発を受ける。その圧力に屈した本国政府により、公開1週間前に上映禁止命令が出されるという事態となった。
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そこで監督や出演者らの抗議活動に加え、ノーベル平和賞受賞者のマララ・ユスフザイやパキスタン系イギリス人の俳優リズ・アーメッドらから支援の声が上がり、禁止令は撤回。逆境を乗り越えて、本国での上映が実現したことでも注目された。
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【STORY】
パキスタンで2番目の大都市、古都ラホール。保守的な中流家庭ラナ家の次男ハイダルは、現在失業中。家父長制の伝統を重んじる厳格な父からの「早く仕事を見つけて男児をもうけなさい」というプレッシャーを受けていた。
妻のムムターズはメイクアップアーティストの仕事にやりがいを感じ、家計を支えていた。ハイダルは、就職先として紹介されたダンスシアターでトランスジェンダー女性ビバと出会い、パワフルな生き方に惹かれていく。その恋心が、夫婦とラナ家の日常に波紋を広げていく――。
『ジョイランド わたしの願い』は10月18日(金)より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国にて順次公開。