サンダンス映画祭で観客のみならず審査員も熱狂させた『シアター・キャンプ』。本作を作り上げたのは才能あふれる4人の若者たちだ。
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7月14日に北米の6スクリーンにて一足先に公開を迎えた本作。公開3日間で28万1,172ドルを稼ぎ出し、館アベレージ4万6,900ドルを記録する大ヒットスタートを切った。2週目もクリストファー・ノーランの『Oppenheimer』や『バービー』といった大作が封切られる中、公開規模を10都市51劇場に拡大し、7月21日~23日の週末3日間で26万6,000ドルを上げ、館アベレージ5,200ドルをキープしている。この数字は日本でも大ヒットとなった『ジョジョ・ラビット』以来の記録となり、日本での公開にも期待が高まっている。
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出口調査では80%が「絶対に見に行くよう勧める」と答えるなど観客の反応も良好なうえ、来週は公開規模を35~40都市に、8月には600~800館規模に拡大することも決定しており、今後の広がりにも目が離せない。
本作の監督・主演・脚本・製作を務めたのは、『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』(19)で冒頭とラストでギャップの生まれるキャラクター“トリプルA”ことアナベルを好演したモリー・ゴードン。今作で監督デビューを果たし、多彩な才能を披露している。
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モリ―演じる音楽指導教師のレベッカとともに演技指導を行うエイモスを演じたのは、トニー賞でミュージカル作品賞を含む6冠を獲得したブロードウェイミュージカル「ディア・エヴァン・ハンセン」のミュージカルと映画の両方で主演を演じ、美しい歌声と演技力で人々の心を掴んだベン・プラット。モリ―と同様に役者としてだけでなく脚本と製作にも参加している。
さらに、モリ―とは『ブックスマート』、ベン・プラットとはミュージカル版「ディア・エヴァン・ハンセン」で共演し、今作では役者の夢を持ちながらも舞台の裏方として働くステージマネージャーのグレンを演じたノア・ガルヴィンも脚本と製作に参加。
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そしてモリ―とともに監督を務め、脚本・製作としても名を連ねるニック・リーバーマンは、ベン・プラット、レミ・ウルフほか多彩なアーティストのミュージックビデオのほか、サムソン、ビルボード、フェンディなど世界でも有名な大手企業広告も手掛けており、本作が満を持しての長編映画監督デビューとなる。
同世代であり、映画、ミュージカル、音楽とそれぞれのフィールドで交流を築いてきた4名が集結し、才能豊かな彼らのコミュニティの役者たちを起用して即興で作り上げた短編を基にして製作されたのが本作だ。映画の題材として若者の舞台の世界を選んだのは、モリーとベンがまだ子どもだった頃から皆がつながっていた場所だったからだという。
監督を務めたモリ―とニックは「演劇キャンプをよく知っています。そこにいましたから。実際に経験し、その熱狂を何年もかけて消化してきました。声を発しない1週間を過ごしたり、付け髭をつけたり、父親役の俳優とこっそりキスをしたり。美しくも、とても特殊なオアシスです。その素晴らしく異常とも言える場所を、真剣に、存分に披露したいと考えていました」と当時の貴重な経験と眩しい日々を映画に残したかったことを明かす。
その言葉の通り、シナリオの大半は実際に劇団に起こったことや友人たちの話…と実話ベースで展開し、ベンとモリ―が子どもの頃に演じた実際の映像なども使われている。また映画そのものがモキュメンタリー方式で撮影されており、誰もが演劇キャンプを身近に感じ、ミュージカルの熱に共に熱狂してしまうほどに、リアリティある構成になっている。
まさにいま、先陣を切って業界を盛り上げようとする若手俳優陣たちが、映画・演劇・ミュージカルへの愛を込めて作り上げた本作。その情熱と才能をぜひ感じとってもらいたい。
『シアター・キャンプ』は10月6日(金)よりTOHOシネマズシャンテほか全国にて公開。