主演にチョン・ウを迎え、極道たちの壮絶な末路を描く傑作ノワール小説を映画化した『野獣の血』。本作で第58回百想芸術大賞の男性新人演技賞に輝いた若手俳優イ・ホンネに迫った。
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裏社会で生きるヒス(チョン・ウ)が、血で血を洗う激しい抗争の中に身を投じ、野獣となっていくさまを、韓国ノワールの真骨頂ともいえる容赦ない描写で描き出す本作。
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港町のボス・ソンの右腕として一帯を仕切っていたヒスには生活を共にし、いつかはヤクザを辞め静かに暮らしていくことを夢見ている相手インスクという大切な存在がいる。そんなインスクのひとり息子アミは、刑務所上がりで若くエネルギーに満ち溢れ、ヒスを実の父親のように慕うシーンや、ヒス自身もアミを心の底から可愛がっていることが分かるやり取りは、本作で唯一心が温まる描写となっている。
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だが、アミを待ち受ける悲惨な運命が、ヒスを狂った野獣へと豹変させる決め手となる。まさに本作のキーパーソンを担うのがアミであり、そんな重要な役を務めあげたのがイ・ホンネだ。
2014年に映画『悪党』で俳優デビューを果たし、2017年には「2PM」テギョン主演ドラマ「君を守りたい~SAVE ME~」に出演、2018年にはコン・ヒョジン主演のスリラー映画『ドアロック』、2019年には実力派俳優たちが豪華共演で観客動員数200万人超えの大ヒットを記録した映画『タチャ ワン・アイド・ジャック』、クォン・サンウ主演映画『鬼手』に出演するなど、俳優として着実にキャリアを重ねてきた。
そんな彼を一躍有名にしたのは、OCNチャンネルのオリジナルドラマ史上最高の視聴率を記録した韓国ドラマ「悪霊狩猟団:カウンターズ」(2020)。悪役として登場し、唯一無二の存在感を放ち名が知れ渡った。さらに、「BTS」が2017年にリリースした楽曲「Come Back Home」のミュージックビデオにもメインのキャラクターとして出演し、もがき苦しむ印象的な演技で曲の世界観を体現したことでも注目を集めた。
本作『野獣の血』でチョン・ミョングァン監督は、アミ役で何百人もオーディションした中で、イ・ホンネを「見た瞬間に彼だ!」と即決したと明かす。イ・ホンネも「アミは常に仲間にカッコいいと思われたい。無謀で熱い男だ」と語り、「すばらしい映画だ」と自信を覗かせる。
熱演を見せたイ・ホンネは2022年・第58回百想芸術大賞の男性新人演技賞を獲得。強烈な存在感で物語を加速させていく彼に注目だ。
『野獣の血』は全国にて公開中。