2017年に脚本が書かれ 2019年に撮影されながら、世界的なパンデミックで一変した現実と重なったことで脚光を浴びた映画『ピンク・クラウド』から、冒頭映像が解禁となった。
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解禁となった映像では、一晩の関係を共にしていたジョヴァナとヤーゴが突然の警報から家に閉じ込められる冒頭シーンが明らかとなる。
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ネットの情報も当初はフェイクニュースだろうと信じていなかった2人だったが、鳴り響く警報、テレビ中継での「ピンクの雲に触れると10秒で死ぬ」という情報と、さらに実際に死にゆく人々の映像に接し、慌てて全ての窓を閉め切り家族に連絡をする。
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コロナ禍でも現実に多くの人々が抱いたであろう何も分からないという不安と、一過性のものにすぎないというまだ楽観的な気持ちが不思議と入り混じる感情。お互いのことをほとんど何も知らない男女2人の人生がこれから数年続くことになることは、まだ知る由もなか ったのだった...。
また、芥川賞作家・円城塔が小説を書き下ろした本作の劇場用パンフレットも発売決定。総勢10名が寄稿。映画批評のみならず小説、詩や俳句まで掲載された文芸誌のような体裁をとり、それぞれの執筆者が思い描いた映画『ピンク・クラウド』の世界を味わうことができる豪華パンフレット。
アニメ「ゴジラ S.P」のシリーズ構成・SF考証・脚本・小説版も手がけたことが記憶に新しい芥川賞作家・円城塔のコメントに加え、映画『ピンク・クラウド』をモチーフにした小説を書き下ろしたほか、ミュージシャンとしても活動する精神科医・星野概念と、星野氏のの著書に影響を受けたという気鋭のアーティスト・雪下まゆの対談が実現。
また、邦訳書としては異例の大ヒットを記録したルシア・ベルリン「掃除婦のための手引き書」の訳者としても知られる翻訳家・岸本佐知子が、より深く映画の世界を味わうためのブックガイドを寄せた。人気イラストレーター・三好愛と、インタビューエッセイ「沼で溺れてみたけれど」著者のひらりさがエッセイを書き下ろした。
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世界的なパンデミックとの偶然の重なりによって自らの体験と切り離しては語れない本作だが、「あなたにとってのピンクの雲が何かを考えてほしい」というイウリ・ジェ ルバーゼ監督のメッセージのように、映画の世界に思いを馳せることができるものとなっている。
円城氏は「人恋しくないわたしには、それは理想郷のようにも見えて、現実のごとく息苦しい」と語り、岸本氏は「限られた空間に閉じこめられ、濃すぎる関係に窒息していく金魚鉢の金魚たち。それはまったく、鏡に映った今の私たちそのものだ」とコメントを寄せている。
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なお、パンフレットは1月27日の映画公開と同時に上映劇場にて発売、配給会社サンリスフィルムのオンラインショップでも予約可能となっている。
『ピンク・クラウド』は1月27日(金)より新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国にて順次公開。