役作りのため様々な“90年代”を体験
――撮影に入る前には、満島ひかりさんによるワークショップも開催されたと伺いました。
木戸:也英と晴道が『タイタニック』のポーズを真似してはしゃぐシーンをピックアップしてやりしました。台本にはジャック(レオナルド・ディカプリオ)とローズ(ケイト・ウィンスレット)のセリフがあって「笑い合う」くらいしか書いていないんですが、ワークショップの前に監督と3人で読み合わせをやったときに僕と莉可子ちゃんが恥ずかしくなっちゃって(笑)。
八木:私も「I’m flying, Jack!」のセリフが全然うまく言えなくて、何回も回数を重ねてしまいました…(苦笑)。あとは晴道との電話を切った後に「キャー!」って喜びを爆発させるシーンも何回もやったことを覚えています。
木戸:ワークショップではひかりさんが莉可子ちゃんの部分をやってくださって、そこに書いてあるセリフに関係なくアドリブで「やだやだやだやだ! やりたくない!」みたいに演じてらっしゃって、新鮮でした。お芝居というよりもひかりさんが素で楽しんでらっしゃるような感じがあって、ご本人も「とにかく楽しんだ方がいいよ」とおっしゃってくださいました。

――八木さんは役作りの一環で「90年代当時のことを調べた」とおっしゃっていましたが、『タイタニック』のシーン然り、世代的に当時の盛り上がりを体感していないなか演じる状況でもありました。
八木:おっしゃる通り当時の盛り上がりだったり、そういった当時流行ったものがその人にとってどれくらい大切なものなのかわかっていなくて、監督に現場で指摘いただいて「自分はちゃんとわかっていなかったんだな」「違ったんだな」と感じることはありました。
木戸:いまのお話に通じますが、90年代当時はいまみたいにスマホで簡単に連絡を取り合えなかっただろうから、と思い、僕から提案して莉可子ちゃんと連絡先を交換しなかったんです。そのぶん、会える時間に色々な話をするはずと思って現場入りしたのですが、お芝居をやりながら「もっと普通に連絡を取っておけばよかった…」と思い直して(苦笑)。
僕が監督から晴道を演じるうえで色々言っていただけたことを処理しきれずに悩んでしまったときに、ホテルのロビーで莉可子ちゃんと話をさせてもらったのですが、そのタイミングで「やっぱ連絡先交換していい?」とお願いしました。

八木:お互いに「こうした方がいいよ」みたいにシーンの悩み相談をするだけじゃなくて、普通に会話する時間を増やしました。「明日は仲のいいシーンの撮影だし1回会って話そうか」みたいにホテルのロビーで待ち合わせて話したり、1回だけじゃなくて何回もお互いに話す機会を作りました。
木戸:ふたりでNetfixの宇多田ヒカルさんのライブツアー「Hikaru Utada Laughter in the Dark Tour 2018」を観たりもしましたね。それこそ、劇中の也英と晴道の屋上のシーンみたいに。
八木:でも私たちはAirPodsだったから(有線式の)イヤフォンを片耳ずつ、ではなかったです(笑)。
木戸:(笑)。あとは撮休のときに、莉可子ちゃんが飛行機のお守りを買ってきてくれたんです。
八木:パイロットの方やCAさんが買うお守りがあるんです。

――素敵ですね。劇中とリンクしていますね。
木戸:そうなんです。僕が空いている日はお守りを買ってきて、お守り交換もしました。
八木:札幌の中島公園に行って話したりもしたよね。
木戸:そうだね。