韓国映画界を牽引し続ける、アジアが誇る鬼才パク・チャヌク監督の最新作『別れる決心』。その5年6か月ぶりの来日を前に、監督の“すごさ”をふり返った。
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韓国映画界を牽引、アジアを代表する巨匠
2000年、南北分断を背景に兵士たちの友情を描く『JSA』が韓国国内で封切られると、当時の観客動員記録 を塗り替える大ヒットを記録し歴代興行収入No.1を獲得。韓国国内の賞を総なめにして社会現象を巻き起こし、第51回ベルリン国際映画祭コンベティション部門にも出品され、世界中にその名を知らしめた。
翌年、日本でも公開されると公開当週興行収入第1位を記録。同年に日本公開された『シュリ』の大ヒットに続き、日本国内での“韓国映画ブーム”を巻き起こすことに。さらに2003年に公開された復讐サスペンスの金字塔『オールド・ ボーイ』は日本の漫画を原作にした作品。第57回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に選出され、審査員特別グランプリを受賞、審査委員長のクエンティン・タランティーノから「できればパルム・ドール(最高賞)を授与したかった」と激賞されたという逸話も。
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『オールド・ ボーイ』は『復讐者に憐れみを』(02)、『親切なクムジャさん』(05)と並び、“復讐3部作”と称される。2009年『渇き』でも第 62回カンヌ国際映画祭審査員賞を受賞、2013年には『イノセント・ガーデン』で韓国監督初のハリウッド進出を果たした(同時期に、『悪魔を見た』『箪笥』キム・ジウン監督の『ラストスタンド』、続いて『パラサイト 半地下の家族』ポン・ジュノ監督の『スノーピアサー』もある)。さらに、2016年に公開された前作『お嬢さん』は第69回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に正式出品、第71回英国アカデミー賞にて非英語作品賞を獲得するなど、国内外で多数の賞を受賞した。
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そんなパク・チャヌク監督の最新作『別れる決心』は、5月の第75回カンヌ国際映画祭コンペティション部門での監督賞受賞を皮切りに、韓国の“アカデミー賞”とも称され、最も権威ある映画祭・青龍映画賞で監督賞をはじめ7冠を獲得。同じく大鐘賞では作品賞、脚本賞、主演男優賞の3冠を受賞。韓国映画制作家協会賞で6冠、韓国映画評論家協会で6冠獲得など、国内の映画賞を軒並み受賞し、社会現象ともいえるブームを巻き起こしている。
本年度のアカデミー賞国際長編映画賞部門の韓国代表選出、先日発表された第80回ゴールデン・グローブ賞でも非英語映画賞(旧・外国語映画賞)ノミネ ートなど、国内外の映画界に旋風を巻き起こしている。
最新作『別れる決心』はサスペンスとロマンスが溶け合う
パク・チャヌク監督といえば、バイオレンスやエロスの描写に定評があるが、6年ぶりの最新作『別れる決心』は、サスペンスとロマンスが溶け合う珠玉のドラマ。監督作品で、本国においてR(18歳以上観覧可)の等級がつかないのは、12歳鑑賞可指定の『サイボーグでも大丈夫』以来、実に16 年ぶりという。
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ただ、これまでの作品のような過激な描写は少なくとも、パク・チャヌク監督らしさは健在だ。監督はカンヌ国際映画祭にて、「この映画にはヌードもバイオレンスも必要がないと感じた。そういった描写がないからと言って、必ずしも進化してないわけではない。ただ、大人の映画を作りたかったんです」と話し、「大人の映画というと、みんなエロティックなものやセクシーなものを期待するけれど、私は全く逆の発想だったんですよ」 とコメント。
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「今年最もロマンチックな映画」(IndieWire)との呼び声もあり、過激な描写はなくとも官能的なムードを漂わせる点が世界中を熱狂させているようだ。さらに、独特なカメラワークとカットもパク・チャヌク監督の持ち味の1つであり、本作でもいかんなく発揮、観客を本作の世界観へいざなっている。
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『別れる決心』は2023年2月17日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国にて公開。