1978年に作家・水上勉が記した料理エッセイから、中江裕司監督が人々がいつしか忘れてしまった土の匂いのする生活を思い起こさせる物語を紡ぎ出した『土を喰らう十二ヵ月』より、愛犬“さんしょ”にまつわるメイキングスチルが到着した。
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目も心も満たしてくれる旬の野菜で作る料理の数々が登場する本作だが、映画初参加となる料理研究家の土井善晴が、ほうれん草の胡麻和えや、若竹煮、胡麻豆腐など、ツトムが寺で覚えた料理を具現化している。
また食材は、撮影前に畑を開墾し育て収穫したものなどを使用。四季を撮るために1年6か月に渡る撮影を敢行するなど、“土を喰らう”本質を表現するために徹底的なこだわりが詰めこまれている。
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そんな本作では、作家のツトム(沢田研二)が人里離れた信州の山荘で、畑で育てた野菜や山菜を収穫し、幼少期に禅寺で習った精進料理を作る日々を送るが、彼の傍らには、いつも犬の“さんしょ”がいる。“さんしょ”という名前は、13年前に亡くなり山椒が大好きだったツトムの妻・八重子が命名したものだ。
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そんな愛犬“さんしょ”役には、演技経験のある犬ではなく、白馬村の近隣のお宅の飼い犬「もも」が大抜擢されている。実は撮影前のある日、スタッフが白馬村周辺でツトムの愛犬役の犬を探し回っていたところ、スタッフの軽トラックを茶色い犬が追いかけてきたという。
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“自らの出演オファー”というユニークな経緯により、主役の沢田研二の愛犬という大役を掴むことになった「もも」。撮影中は、新井プロデューサーがしつけ担当となり、家までの送り迎えなど時間を共にしながら撮影に挑んだ。
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また沢田さんには初対面で頭をなでてもらい、すんなりと懐いたそう。現場ではいつも沢田さんの傍らにおり、劇中ではツトムがひとりごちるのを見守り、散歩に出掛け、共に土を喰らいながら生きる「作家と犬」として名演を見せている。
そんな「もも」の演技にも注目だ。
『土を喰らう十二ヵ月』は新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座ほか全国にて公開中。