モダニズムを代表する画家のひとりとして近年注目を集める、フィンランドの国民的画家ヘレン・シャルフベックの生誕160年を記念した『魂のまなざし』。この度、自身もヘレン・シャルフベックの崇拝者だと語る本作の監督アンティ・ヨキネンのコメントが到着した。
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ビヨンセ、セリーヌ・ディオン、ケリー・クラークソンなど数々のミュージック・ビデオを手掛けてきたフィンランドのアンティ・ヨキネン監督。長編2作目『Purge』(原題/2012)は、本作と同じくラウラ・ビルンを主演に起用し、第85回アカデミー賞外国語映画賞フィンランド代表作品に選ばれている。
「私はずっとヘレンの崇拝者だったので、彼女の映画を作りたかったのです。しかし伝記映画を作った経験がありませんでした。それでも、私は自分のキャリアの当初から、彼女の物語は私にとって重要だと思っていたのです」と監督は言う。
「何年にもわたって私は、武術家から作家に至るまですばらしい才能の持ち主についての映画を手掛けてきました。しかし、彼らはたいてい、ありがちで表面的な物語の主人公にすぎませんでした。けれどもこの映画の場合、主人公がかなり複雑な存在で、そういった物語はなかなか見つからないものなのです」と打ち明けた。
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そして「ヘレンはこれまで、頭もあまりよくなく虚弱で、(郊外の町)ヒュヴィンカーで見捨てられ苦しめられたといったふうに語られてきました」と続ける監督。「しかし調査を進めるとまったく違っていました。浮かび上がってきたのは、強くてまっすぐ、愉快で正直な芸術家の姿です。それは、ドラマティックな映画にぴったりな人物像です」と、これまでの通説とはまるで異なる女性であったことが調査で分かってきたという。
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「また、ヘレンは多くの手紙を書いていています。そこには重要な内容が含まれており、言葉の使い方がすばらしいのです。映画化に至った最後の理由は、ラケル・リエフが著した(ヘレンの)伝記小説です。それはヘレンの人生をイメージさせてくれました。映画は、歴史的に正確な、実人生から無理なく想像できる範囲で描こうとしました。ヘレンとエイナルの関係の成り行きにできる限り接近しようと努めました」と、本作に込めた思いを語っている。
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『魂のまなざし』は7月15日(金)よりBunkamuraル・シネマほか全国にて順次公開。