生理や避妊、中絶など、女性の身体にのしかかる様々な負担や精神的プレッシャーをユーモアと軽やかさを持って描き、「SXSWフィルムフェスティバル2019」観客賞と審査員特別賞を受賞した『セイント・フランシス』。この度、6歳のフランシスと34歳の“ナニー”ブリジットのシニカルな質問の応酬を切り取ったシーン映像が解禁となった。
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34歳で独身、大学を1年で中退し、レストランの給仕として働くブリジットが短期のナニー(子守り)先で、6歳の少女フランシスと出会う。
今回解禁となった本編映像は、初めて2人きりで出かけたフランシス(ラモーナ・エディス・ウィリアムズ)とブリジット(ケリー・オサリヴァン)の、シニカルな質問のやりとりを切り取ったもの。「何歳なの?」「何歳だと思う?」「52歳」――。大人ぶった質問をするものの、実は、“年齢”というものに対してまだ理解が追いつかないフランシスは前任者のナニーの年齢を答えてしまう。
しかし、ブリジットはその背伸びした質問をバカにするでもなく「なぜそう思う?」と理由を聞き「私は34歳」と冷静に返答。そのあと「結婚してる?」「彼女は?」と矢継ぎ早に続く面接のような質問にもきっちり答えていった後、フランシスにも「あなたはどう?」と、あくまでも対等な相手として問いかけ返している。
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「なら仲間ね」と最後フランシスに告げるブリジットの姿は、大人も子どもも区別なくまっすぐに“友人”として接する彼女の真摯なキャラクターも垣間見え、新時代のシスターフッド映画の誕生を思わせるようなシーン。精一杯大人ぶる、フランシスの姿も必見となっている。
グレタ・ガーウィグ監督の『レディ・バード』の女性の描き方に触発され、俳優として多くの脚本を読んできた経験を生かして自伝的要素を織りこんだ本作のオリジナル脚本の執筆を開始したという主演のケリー・オサリヴァン。「女性に生理がなかったら地球には誰も存在しないのに、若い頃から生理のことは隠すように教育されている」と語り、女性の心身の本音を見せたかったのだという。そして、本作を思いついたきっかけは「20代の頃にベビーシッターをしていて、いつかこれについて書きたいと思っていた。だってこんなに奇妙でエモーショナルな仕事はないから」と語る。
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「お世話をする子どものことを本当に愛おしく思うようになるし、ある意味その家族の一員になるのだけど、一方で部外者のままでもある。家にいれば時々、その家族のとてももろい部分を目撃することもある。だけど仕事が終われば自分の家に帰るというね」と言い、「それでその後、30代のときに私は中絶をして、この二つの経験、つまり中絶とベビーシッターが重なったらどうなるのかなと考えた。だから映画のほとんどはフィクションだけど、リアルな場所から始まっている」と明かしている。
『セイント・フランシス』は8月19日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、シネクイントほか全国にて公開。