最新作が第75回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に正式出品されることが決定したパク・チャヌク監督。日本のコミックを映画化し、第57回カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞した傑作復讐サスペンスの4Kリマスター化『オールド・ボーイ 4K』が5月6日(金)より全国公開される。本作でヒロインを務めるのは、妖精のような愛らしさと純粋さが演技から溢れ出し、話題を呼んだカン・ヘジョン。その魅力を改めてふり返った。
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カンヌでは審査委員長のクエンティン・タランティーノ監督が激賞し、国内外の映画賞で高い評価を得た本作。土屋ガロン(狩撫麻礼)作、嶺岸信明・画による同名コミックを原作に、当時『JSA』で国際的に注目を集めていたパク・チャヌク監督が映画化。ある日、突然何者かに拉致監禁され、理由も明かされぬまま15年後に突如解放されたオ・デス(チェ・ミンシク)の壮絶な復讐劇を描く。
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予想を超えるストーリー展開と、スタイリッシュかつ容赦なきバイオレンス描写が話題となり、ハリウッドでリメイクされるなど、いまもなお多くのファンやクリエイターに愛されている作品。パク・チャヌク監督に原作コミックを勧めたのは、『パラサイト 半地下の家族』のポン・ジュノ監督だ。
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復讐を誓うデスに手助けを申し出る若い女性ミドを演じたカン・ヘジョンは、1997年にモデルとして活動を開始し、1998年にTVドラマ「ウンシリ」で演技デビュー。その後、本作のオーディションで300人の中から今回のミドという役を勝ち取った。
彼女は、ミドが日本料理店で板前として働く役だと聞かされていたため、オーディションに刺身包丁を持参。「日本料理店から借りてきた」とパク・チャヌク監督に語ったとか。そんなことをしたのは300人の中で彼女ひとり。監督は当初、「料理人が大事な包丁を貸すわけがない。彼女は嘘をついている」と考えたというが、後に確認すると、その料理人は「すごい気迫と真剣な表情で包丁を貸して欲しいと言われたので貸した」と語ったそう。
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パク・チャヌク監督は、その気迫こそ、このミドという役に必要だと感じたという。まだ演技経験は浅かったが、本作で彼女は第24回青龍映画賞、第4回大韓民国青少年映画祭、第24回韓国映画評論家協会賞、第5回釜山映画評論家協会賞などで受賞し、評価を集めた。
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その後、久石譲が音楽を担当した『トンマッコルへようこそ』(05)では大韓賞助演女優賞を受賞、パク・チャヌク監督の復讐三部作のラストを飾る『親切なクムジャさん』(05)、浅野忠信主演『インビジブル・ウェーブ』(06)などにも出演。
プライベートでは、「BTS」にも影響を与えた韓国HIPHOP界の重要人物タブロと2009年に結婚したことで知られ、2010年に娘が誕生。2013年~14年にかけて韓国で放送されたバラエティ番組「スーパーマンが帰ってきた」に家族で出演したことをきっかけに、娘“ハルちゃん”がお茶の間の人気者に。今年の2月に邦訳版が発売されたタブロの書籍「BLONOTE(ブロノート)」には、パク・チャヌク監督の手書き文字も収録されている。
現在はハルちゃんとの生活を優先し、芸能活動を控えているカン・ヘジョンだが、本作では彼女の瑞々しい魅力と熱演に触れることができる。
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『オールド・ボーイ 4K』は5月6日(金)より全国にて公開。