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「映画ネタ、小ネタがたくさん」と早くも話題の本作。劇中には名作の数々がふんだんに盛り込まれ、その作品タイトルが分かったときは、思わず嬉しくなるはず。
ソ連でスター声優として映画の吹き替えをしていたヴィクトルがレンタルビデオ店で偶然、再会を果たした作品は、『クレイマー、クレイマー』。夫婦関係のすれ違いや息子の親権争いと当時のアメリカの社会問題を描き、アカデミー賞5部門受賞に輝いた傑作。
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ヴィクトルは主演のダスティン・ホフマンの吹き替えをしたことを思い出しながら、「ユニークな俳優さ。小柄でヤセてるが、内面にものすごい強さを秘めてる」と語り、ビデオを見ながらセリフを完璧にアテレコ、店員を驚かせる。
夫婦がこのレンタルビデオ店での“ある仕事”をする合間、妻のラヤが鑑賞するのは『プリティ・ウーマン』。リチャード・ギア扮するウォール街の実業家と出会ったことで、ジュリア・ロバーツ演じるストリートガールがやがてトップレディへと変貌していく、恋愛映画の金字塔だ。
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さらに、店主が顔を覗かせている壁にある怪しげなポスターは、低予算Z級映画の『トロル』。トロルが人間の体を乗っ取っていくのを主人公の少年が止めるという物語で、続編『トロル2/悪魔の森』も製作された。一部のファンからはカルト的な人気を誇っている。
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そして何より、声優夫婦が敬愛してやまない巨匠フェデリコ・フェリーニへの愛がふんだんに詰まっている。フェリーニの代表作『8 1/2』の吹き替えをふたりが務め、モスクワ映画祭で見事グランプリを受賞したというエピソードにはフェリーニと夫婦の3ショットの写真が。
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そして月の声を求める無垢な主人公と、周囲の人々が繰り広げるお祭り騒ぎを、詩的でファンタジックな映像で綴った『ボイス・オブ・ムーン』が、1990年が舞台の劇中では最新作として上映されている。
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ほかにもマーロン・ブランド主演『波止場』の名セリフ、オードリー・ヘプバーン主演『ローマの休日』、フェリーニ監督『カビリアの夜』といった名作の吹き替えの思い出を語りながら、夫婦が映画とともに人生を歩んできたことが描かれている。本作と共に、この冬はこうした名作に触れてみては?