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この度解禁となった新場面写真では、『デッドプール』や『ラ・ラ・ランド』など日本でも大ヒットした映画の音づくりを手掛けた効果音編集者アイ=リン・リーが真剣にミキサー台に向かう姿や、自身の仕事について楽しそうに語る技術者たちを捉えている。
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世界中の観客を楽しませるハリウッド映画の影で裏方と呼ばれる仕事だが、それでも彼女たちの表情は輝いている。そこには本作の監督を努めたミッジ・コスティンによる「映画の“音”への情熱」が投影されている。
本作が初の長編監督作品となるコスティンは、ハリウッドに女性音響スタッフがほとんどいなかった1990年代からトム・クルーズ主演の『デイズ・オブ・サンダー』(90)やブルース・ウィリス主演の『アルマゲドン』(98)などといった作品で音響の技術を磨いてきた。初めは映像編集の仕事の傍ら、お金のために音響編集の仕事を引き受ける程度だったという監督。彼女の興味は「物語」にあったためだったが、音響編集の作業をしていくうちに「音」こそが物語やキャラクターを明確にし、感情を表現できるということに気がついていく。
それから音に情熱を注ぐようになり、現在は自身の母校であり、ルーカスやスピルバーグを輩出した南カリフォルニア大学の映画芸術学部で教鞭を振るっている。『ブラックパンサー』(18)や『フルートベール駅で』(13)の監督を務め、本作にも出演しているライアン・クーグラーは彼女の教え子の1人だ。
ある日、同僚のボベット・バスターから本作製作の提案を受けたコスティンは「より多くの人に“音”の重要性を届け、人々の意識を開く」という自身の夢を叶えるためのまたとないチャンスだと思い、監督を引き受けたという。
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本作は、女性が少ない現場で活躍してきたコスティンならではの視点で描かれる。映画の音の歴史を紐解いていく前半から、現代の映画音響の進化が明かされる後半になるにつれ、多くの女性スタッフの活躍も紹介。「男性だけの歴史にしたくなかった」と監督は話しており、実際、映画内では映画音響の仕事に“性別は関係ない”と考える女性技術者の声を聞くこともできる。
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例えば、映画『ブレイブハート』(95)などを手掛けた効果音ミキサーのアンナ・ベルマーは「アクション映画はスタッフも男性だと思う人が多いが、性別を気にするなんてバカみたい。問題は経験」と話し、『ダークナイト』(08)や『インセプション』(10)などを手掛けたミックスダウン技術者のローラ・ハーシュバーグは「ミキサー台は複雑に見えて男じゃなきゃ扱えないと思ってしまいそうだけど、実際に必要なのは指先の動きだけ」と語っている。
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いまや性別問わず映画を愛する多くの者たちが働く現場となった映画業界。彼らは音の持つ効果を信じ、自らの仕事に誇りを持って日々挑戦を続けている。「私は自分の仕事が大好き。関わった作品を見直すとすごいと思うし、満足感がある」「楽しくてその上お金がもらえる」「夢みたいな仕事」と自慢の仕事への思いを語る、実に楽しそうな彼女たち。
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本作の魅力は映画音響の歴史や秘密が次々と明かされるということだけでなく、映画愛のあふれる音響技術者たちの仕事風景や、彼ら・彼女らによって語られる仕事に対する熱い思いは、観る者を幸せな気持ちにさせてくれる。
『ようこそ映画音響の世界へ』は8月28日(金)より新宿シネマカリテほか全国にて順次公開。