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フランシス・フォード・コッポラ監督が、ベトナム戦争の闇を壮大なスケールで描いた戦争大作『地獄の黙示録』。製作40周年を記念して、コッポラ監督自ら1979年の劇場公開版より30分長く、2001年の特別完全版より20分短いバージョンに再編集し、新たなデジタル修復を施したものが、2月から公開された。
今回到着した映像では、本作で音響スタッフを指揮したウォルター・マーチの“音響デザインスケッチ”が映し出されるところからスタート。
多くの作品でコッポラ監督とタッグを組むマーチは、『イングリッシュ・ペイシェント』(’96)では同年度のアカデミー賞編集賞と2度目の録音賞を受賞。この2部門での受賞歴を持つ唯一の人物であるマーチは、“映画音響の世界に関わるもの全員の父親”とも呼ばれるほど偉大な人物。
そんなマーチは本作の音響制作に当たり、いまでは当然のようになっている“5.1chサラウンドシステム”を世界で初めて実現させた。音を映画館のあちこちに移動させるという未知の技術は、観客の意識を戦場の真っ只中に連れていくことに成功したのだ。

さらに映像では、音の制作を“担当制”にしたと明かしていて、環境音や武器の音、船の音、群衆のガヤなど、全編において一人が一つの音のみを担当したという。そしてそれぞれが担当音に責任を持ち、最終的にマーチが一つの音にまとめ上げていく。まさにオーケストラのようだ。
戦場の音を見事に表現した本作でマーチは、同年度のアカデミー録音賞を受賞している。
『ようこそ映画音響の世界へ』は8月28日(金)より新宿シネマカリテほか全国にて順次公開。