本作は、スペインの新鋭ロドリゴ・ソロゴイェン監督が2017年に製作した15分の短編映画『Madre』(原題)が出発点。同作は、第91回アカデミー賞短編実写映画賞にノミネートされたほか世界各国の映画祭で50以上もの賞を受賞し、世界の映画人を驚かせた。
短編に続いて本作『おもかげ』のメガホンをとったソロゴイェン監督は、緊迫感あふれるワンシーンのその短編を、大胆にも映画のオープニングシーンとして採用し、息子を失った女性エレナの“その先”の物語を描いていく。
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新たに紡いだ長編の本作は、2019年のヴェネチア国際映画祭オリゾンティ部門に選出され、主人公エレナを演じたマルタ・ニエトが主演女優賞を受賞したほか、スペインで4つもの主演女優賞を獲得。止まった時間を深い失意とともに生きてきた女性の繊細さと迫真さが共存するニエトの圧倒的な演技が高く評価された。エレナの息子の面影をまとう少年ジャンには、本作が長編映画3作目となる新鋭ジュール・ポリエが起用された。
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解禁された予告編は、短編『Madre』の一部分から幕を開ける。エレナの元夫と旅行中の6歳の息子イバンからのあどけない電話のはずが、その会話から海辺にたったひとり残された息子の状況が明かされていく。
10年後、エレナはその海辺のレストランで働いていたが、その場所で失踪事件のことを知らない者はいなかった。ある日、エレナは息子に似たジャンという少年と出会う。エレナの心の支えとなっていた恋人は彼女に「彼はイバンに似てる。だが君の息子じゃない」と忠告し、彼女は誰よりもそのことを分かっていた。
しかし、その出会いをきっかけに、恋人やジャンを慕う少女、ジャンの家族など周囲の人物に混乱と戸惑いの波紋が広がっていくことに。
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大西洋に面する美しい海辺とその波音を寡黙かつ雄弁に切り取り、登場人物の心情を繊細かつ大胆に見せていく印象的な映像は要注目。どこか不穏でありながらも、エレナの再生への旅路のゆくえに期待が高まる予告編が完成した。
また、ビジュアルでは、その海辺に佇む、凛とした表情で前を向くエレナと彼女をまっすぐに見つめるジャンの姿を捉えたカットが使用されている。
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『おもかげ』は10月、シネスイッチ銀座、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国にて公開。