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「夫婦の形は人それぞれあって良い」決めるのは二人
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永田氏は自身が担当する作品を選ぶ際の基準や、作品に込めてきたメッセージやテーマ性について、「確かにセンセーショナルなものを意識はしています(笑)但し、センセーショナルなだけでは無く、その先に観客に何を届けられるかどうかを大事にしています」と言う。
「例えば、『ロマンスドール』は主人公・哲雄の職業に興味が湧いて、その夫婦の10年間って何だろうから始まった企画です。今の世の中、男女関係や結婚についていろいろな価値観があり、何が正しいか迷われている人が多いと思います。私は夫婦の形は人それぞれあって良いと思いますし、それを決めるのは当事者である二人。幸せの形は自分たちが決める。今回、観客の皆様に伝えたいのはそこです。なので、結婚、恋愛に悩んでいる男女にまず観て欲しいですね」と、本作に込めた思いを話した。
10年ぶりに原作に触れ、夫婦の「10年間の変遷がより理解できた」
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本作『ロマンスドール』の原作小説は、2008年に雑誌「ダ・ヴィンチ」に連載された。なぜ発表から12年経ったいま、映画化なのかについて尋ねると、実は2009年に単行本が出版された際から映画化の話はあったのだという。
「原作は主人公の哲雄の心情が痛いほどわかって、冷静に読めなかったですね。とにかく哲雄がただ単にいい人ではなく、情けなくてちょっぴり狡い。彼を他人事に思えなかったのを覚えています。その時点で映画化を決意しなかったのは、映画にしたいと当時私に言ってくれた映画監督と原作が自分の中で結びつかなかったことと、ラブドールという題材にピンとこなかった、これは今考えると単に私の勉強不足だったのですが、平たく言えばこの原作をプロデュースする力量がまだ私にはなかったという事だったと思います」と、謙遜を交えながら当時をふり返る。
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そのうえで、なぜ“いま”映画化なのかという点については、「2017年にタナダさんから『ロマンスドール』の映画を一緒にやりませんか?と提案され、原作を10年ぶりに読みました。この『10年ぶり』というのが本当に良かったです。自分自身も10年の歳月を重ねた事で、原作にある哲雄とその妻・園子の10年間の変遷がより理解できたというか、読んでいてとても共感できました」と永田氏。
「これは私の為の企画、まさに私がプロデュースをしなければならない企画だと思いました。また、これはタナダ監督から教えていただいたのですが、2017年にラブドールの国内ナンバー1メーカー『オリエント工業』の商品展示会が渋谷で開催され、それに若い女性が殺到した事実があります。彼女たちは精巧なラブドールの造形の素晴らしさ美しさに魅了されたんでしようね。確かにラブドールの現状を調べると、この10年の技術革新が凄い。これが私のプロデューサーアンテナに引っかかったのは事実です」。
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そして、「時代が確実に変わっている、いや時代が『ロマンスドール』に歩み寄っている、これは映画の企画としてはありだと思い、映画化を決意しました」とコメント。10年という歳月が永田氏にとって、一個人としてもプロデューサーとしても、そして何よりも作品にとって、必要な時間だったようだ。
『ヴァイブレータ』『人のセックスを笑うな』から「少しもぶれてない」
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長い年月をかけて完成した映画について彼は、“永田色”満載だと語る。「この作品を試写で観てくれた友人から『『ロマンスドール』は永田色が満載の映画ですね』と言われました。永田色って何なんだろうと考えると、冒頭に言いましたセンセーショナルな題材を纏った男女の普遍的なドラマなのかなと思います。その上で、観た人が少しだけですが前向きになれる。実はこれが映画を作る上で私が一番大切にしていることかもしれません」。
「デビュー作の『ヴァイブレータ』(03年/廣木隆一監督)から『人のセックスを笑うな』(08年/井口奈己監督)、『ピース オブ ケイク』(13年/田口トモロヲ監督)、今回の『ロマンスドール』まで、20年近く映画を作っていますが、どれもが男女の話。少しもぶれてないことに自分でも驚いてます」。
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高橋一生と蒼井優という日本を代表する役者を迎えて描かれる、センセーショナルを纏った、あくまでも普遍的な愛のドラマ。それが実現した本作は、いまの時代に見逃せないラブストーリーといえそうだ。
『ロマンスドール』は1月24日(金)より全国にて公開。