実は本作には、メガホンをとったJ.J.エイブラムス監督やシリーズを通じて音楽を手掛けてきた巨匠ジョン・ウィリアムズ、さらに海外ドラマで見かけた話題の人や、懐かしい“あの人”たちまで登場していたことにお気づきだろうか?
※以下『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』のネタバレを含みます。未鑑賞の方はご注意ください。
新ドロイドD-Oの声はあの人!
レジスタンスの仲間にも注目

まずは、レジスタンスの一員として、レイア・オーガナ(キャリー・フィッシャー)やローズ(ケリー・マリー・トラン)の傍にいたドミニク・モナハンの姿に気づいた人は多いだろう。『ロード・オブ・ザ・リング』3部作のメリー役やエイブラムス監督が手掛けた「LOST」のチャーリー役でお馴染みだ。彼が演じたのは元歴史学者のボーモント・キンで、レジスタンスではルーク・スカイウォーカー(マーク・ハミル)が残した暗号のようなメモを解読し、レイ(デイジー・リドリー)を手助けしていたという。
また、同じくレジスタンスの一員でパイロットの“スナップ”ウェクスリー中佐を演じるのは、エイブラムス監督が手掛けた「エイリアス」「フェリシティの青春」に出演し、監督とは幼稚園からの幼なじみだというグレッグ・グランバーグ。彼も「LOST」に墜落機のパイロット役で出演していた。
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— Greg Grunberg (@greggrunberg) December 20, 2019
そして、エンドロールを見た誰もが驚いているのが、本作でBB-8の相棒的存在として初登場し、「ハロー、ハロー」とあいさつするドロイドD-O(ディオ)の声の主がエイブラムス監督自身だったこと。D-Oはダークサイドのシスを信奉するオーチという人物のドロイドだったが、宇宙船の中に置き去りにされたままになっていた。一輪車のコンセプトから誕生し、監督が「BB-8と一緒に並ぶとすごく可愛くて最高」とアピールしていたD-Oの声を自ら担当していたとは!

ディズニー製作の「続三部作」の第1作目『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』に続いて、メガホンを託されたエイブラムス監督。野心作といえるライアン・ジョンソン監督の『最後のジェダイ』が提示した新たな解釈を生かしつつも、テンポ良くまとめ上げた、ファンにも目配せしながら42年間の歴史を見事に締めくくったなど、その職人技を称える声やねぎらいの声が相次いでいる。
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ちなみに、エイブラムス監督と共同脚本を手掛けたクリス・テリオ(『アルゴ』)は、『エピソード6/ジェダイの帰還』で大活躍しながら『最後のジェダイ』で命を落としたアクバー提督の息子で、ジュニアと呼ばれていたアフタブ・アクバーの声を担当。
また、パイロットといえば、クライマックスの最終決戦に『エピソード4/新たなる希望』から「旧三部作」に登場していたレッド中隊の名パイロット、ウェッジ・アンティリーズを演じたデニス・ローソンの姿も。デス・スター破壊作戦に挑み、ルークと共に生還した唯一のパイロットとして人気のある彼の“帰還”には歓喜の声が続出。なお、オビ=ワン・ケノービ役で知られるユアン・マクレガーは彼の甥にあたる。
C-3POに特別なミッション!?
惑星キジーミにいたあの人たち
惑星キジーミで出会った、ポー・ダメロン(オスカー・アイザック)のかつての仕事仲間で旧友(元恋人?)ゾーリ・ブリスを演じているのが、『M:i:lll』や「フェリシティの青春」とJ.J.エイブラムス監督作品に出演し、「ジ・アメリカンズ」でも知られる女優ケリー・ラッセルだと気づかなかった人も多いようだ。確かに終始、赤い仮面を被ったままで、目もとが見えたのがポーとのワンシーンだけ。しかし、そのクールで媚びない凛々しさと強さは多くの人の記憶に残ったはず。

また、ゾーリの仲間であり、C-3PO(アンソニー・ダニエルズ)が記憶したシスの言葉を取り出そうとするバブ・フリックの声を演じるのは、『ハリー・ポッター』シリーズの“嘆きのマートル”や『ブリジット・ジョーンズの日記』のブリジットの親友役で知られる英国女優のシャーリー・ヘンダーソン。
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— Star Wars (@starwars) December 25, 2019
さらに、ポーやレイ、フィン(ジョン・ボイエガ)一行が訪れるキジーミの怪しげなバーでC-3POに話しかけられ、不機嫌そうな表情を見せるバーテンダーは、よく見ればジョン・ウィリアムズ! 『エピソード4/新たなる希望』から『スカイウォーカーの夜明け』までシリーズ全9作品、誰もが耳にしたことのあるあの音楽を手掛けた“レジェンド”だ。役名のオマ・トレス(Oma Tres)は作曲家・巨匠=マエストロ(maestro)をもじったのかもしれない。
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「この40年以上の類まれなる旅がもたらしてくれた素晴らしい贈り物への誇りと感謝を感じている」とコメントしていたウィリアムズだが、『スカイウォーカーの夜明け』では彼の集大成ともいえる音楽が物語をさらに盛り上げており、エンドロールの最後の最後まで感動が続く。本作最大の功労者のひとりと言っていいだろう。
ダニエル・クレイグに続く
“シークレットストームトルーパー”は誰!?
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先日、ルーク役のマーク・ハミルが「今回は、だれが#シークレットストームトルーパーになっているかな? いままでを考えると、みんな英国のスーパースターだった(2人の王子に2人の俳優)。でもシンガーはいないな。すべてのヒントが“1つの方向(One Direction)”を示している」とツイートし、これまでカメオ出演した“シークレットストームトルーパー”たちと共に「ワン・ダイレクション」のハリー・スタイルズの画像を投稿し、大きな話題となった(その数時間後にはネタバレを深くお詫びします、とコメント)。
しかし、マスクを被ったストームトルーパーゆえ、誰が誰だか分からないのが困りもの。『フォースの覚醒』には、『007』シリーズのダニエル・クレイグがファースト・オーダーに拘束されたレイの見張り役として登場したが、よくよく声を聞けば彼と分かる。ただ、フォースの「マインドトリック」を試したレイに見事に操られ、解放してしまうという役回りだった。

また、『最後のジェダイ』では、英国王室のウィリアム王子&ヘンリー王子、そして『ヴェノム』『ダンケルク』のトム・ハーディもストームトルーパーに。撮影現場を訪れた王子たちがライトセーバーで遊ぶ姿も報道されたが、残念ながら3人が登場するシーンは本編からカット。
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2人の王子に2人の俳優の次は、もしかしたら2人の有名シンガー? ハリーのほかに噂されているのはエド・シーランで、本国で公開された特別映像にストームトルーパーの格好をしたエドの姿がちらり。
加えて、『メリー・ポピンズ リターンズ』のリン=マニュエル・ミランダがレジスタンスの衣装でジャナ役ナオミ・アッキーと笑顔を見せる姿が大きく映し出されており、注目を集めている。
レイの父親と母親が明らかに!
演じていたのはあの人たち

本作で最も衝撃的だったのは、砂漠の星ジャクーで“家族を待っていた”レイの両親が誰なのかがついに判明したこと。『最後のジェダイ』ではカイロ・レン(アダム・ドライバー)から“何者でもない”と言われていたレイの父親は、なんとシスの暗黒卿であり、銀河帝国の元皇帝であるパルパティーン(イアン・マクダーミド)の息子。つまり、レイはパルパティーンの孫だった!
“普通の暮らし”を望んだレイの両親は、愛する娘をパルパティーンの魔の手から守るために辺境の星ジャクーに匿ったが、2人はオーチによって殺害されてしまったのだ。そんなレイの父親を演じたのは、クリストファー・ノーラン監督の『ダンケルク』にも出演し、映画『追想』ではシアーシャ・ローナンの夫役を演じていた英国俳優ビリー・ハウル。
そして母親役は、海外ドラマ「キリング・イヴ/Killing Eve」でサイコパスの暗殺者ヴィラネル役を演じてブレイクし、劇中の個性的な七変化が“ヴィラネルファッション”として人気となっているジョディ・カマーだ。同役で本年度エミー賞を受賞し、1月に発表されるゴールデン・グローブ賞にもノミネートされている注目女優をレイの母親役に起用するとは、さすが『スター・ウォーズ』は目のつけどころが鋭い。

「共にあれ…」レイの窮地に“駆けつけた”
ジェダイの先人たち

ついに自分のルーツを知ったレイ。この衝撃の事実をパルパティーンから聞いたカイロ・レンがレイに伝え、改めて手を組もうとするが、レイは拒否。やがて、怒りと恐れに支配されてカイロ・レンと激突し、致命傷を負わせてしまうも、その直後にレイアの死を知ったことでフォースで彼の傷を癒やし、ひどく後悔してライトセイバーを炎の中に投げ入れそうにもなった。そんなときに彼女の前に現れたのが、“霊体”となったジェダイの騎士ルークだ。
一方、『最後のジェダイ』のルークのように、レイアが死を覚悟しながらも遠く離れた息子に呼びかけたことで、ついにカイロ・レンはベン・ソロとしての自分を取り戻すことができた。そのときにベンの前に現れたのが、『フォースの覚醒』で自ら手にかけた父ハン・ソロの“記憶”だった。この父と息子が改めて対峙するシーンは『フォースの覚醒』の同シーンと対になっており、さらに「父さん…」の後、「I'm Sorry.(ごめん)」なのか、「I Love You.(愛してる)」なのか、言葉にならないベンに「I know.(知ってるさ)」とレジェンド的名セリフで応じるところも胸に迫る。演じたハリソン・フォードは、ノンクレジットで出演を果たしている。

そして、惑星エクセゴルでのパルパティーンとの最終対決…。レイとベンは共にパルパティーンに挑むも、強力な対のフォースを元皇帝に吸い取られ、あっけなく気絶させられてしまう。目が覚めても立ち上がることすらできないレイが、『エピソード6/ジェダイの帰還』さながらに上空で大苦戦するレジスタンスを見つめていると、そこに歴代のジェダイたちの声が聞こえてくる!
まず、オビ=ワン(ユアン/森川智之)が語りかけ、ヨーダ(フランク・オズ/多田野曜平)、メイス・ウィンドゥ(サミュエル・L・ジャクソン/玄田哲章)、クワイ=ガン・ジン(リーアム・ニーソン/津嘉山正種)、もちろんルーク(マーク・ハミル/島田敏)も。アナキン・スカイウォーカー(ヘイデン・クリステンセン/浪川大輔)は「フォースにバランスをもたらすんだ」と話しかけている。日本語吹き替え陣もお馴染みの面々だ。
しかも、アニメシリーズ「スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ」でアナキンの弟子だったアソーカ・タノ(アシュリー・エクスタイン/伊藤静)や、「スター・ウォーズ 反乱者たち」のケイナン・ジャラス(フレディ・プリンゼ・ジュニア/白熊寛嗣)など、知る人ぞ知るジェダイの声も登場するという心憎い演出がなされている。
こうしたイースターエッグを知れば知るほど楽しめるのが、『スター・ウォーズ』の魅力の1つ。ぜひ二度、三度と鑑賞して確かめてみてほしい。