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映画史上最も有名な悪役のひとりで、圧倒的な人気を誇る反面、そのキャラクターの複雑さから俳優にとっては演じ甲斐のある難役といえるジョーカー。演技派として名高いホアキンでさえ演技に行き詰ってしまったというが、ある音楽に引き寄せられるかのようにホアキンのもとに“ジョーカーが降臨した”というべき誕生秘話を、ホアキンと監督のトッド・フィリップスが明かした。
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撮影中、主人公アーサーがジョーカーに変貌していくにあたっての表現方法で行き詰ってしまったというホアキンとフィリップス監督。スランプを脱する手段のひとつとして、ホアキンは作曲家が用意していた劇中の音楽を試しに聴いてみたという。
その時のことについて、「作曲家からもらった素晴らしい曲が効果抜群だった。曲を聴いてすぐ、『ジョーカーのキャラクターを少し掴めるかもしれない』と言ったら、トッドは『僕がいたら邪魔になるだろうから、あとは任せた』と一言だけ残して去っていった。スランプを脱したんだ。撮影前にいろんな研究や練習もしたけど、あの曲から掴んだインスピレーションが大きなターニングポイントになったよ」とふり返り、音楽を聴いた瞬間に“ジョーカーが降臨した”という衝撃の事実を明かした。
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さらにフィリップス監督も、「アイデアが尽きかけたときに作曲家からもらった曲をホアキンに聴いてもらったら、彼もとても気に入って、曲に合わせてスローダンスを始めたんだよ。すると突然、アーサーから余裕のある一面が出てきた。ジョーカーの部分が現れたんだ。あの瞬間が変貌の始まりになったんだ」と語り、ジョーカー誕生の瞬間を目の当たりにしたという。
その音楽を生み出したのは、エミー賞ノミネートの海外ドラマ「チェルノブイリ」や『ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ』などを手掛けてきたヒルドゥル・グーナドッティル。彼は「アーサーは素朴だけど多面性があって、素直な子供のような人物。必死で社会に馴染もうとしているのにそれを実現できない彼の鬱屈した心情を音で表現したら、ごく簡素で単調なメロディになると思いました」と語り、ジョーカー降臨のきっかけに大きく貢献した音楽について明かした。
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ジョーカーはインパクト大のルックスと劇場型の犯罪で人々の心をむしばんでいく、唯一無二の悪役。だが、その誕生の物語は謎めいていた。しかし本作では、これまで明かされることのなかった、ひとりの孤独な男アーサーが“悪のカリスマ”ジョーカーになるまでの生い立ちや内面にスポットが当てられる。
この新たなジョーカーは、第76回ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門に出品され、8分間のスタンディング・オベーションが巻き起こり話題をさらうと、最高賞となる金獅子賞を受賞した。世界三大映画祭でアメコミ作品が最高賞を受賞するのは初の快挙。すでにアカデミー賞最有力と言われ、その完成度の高さは証明されている。
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『ジョーカー』は10月4日(金)より全国にて公開。